『青井史歌集』  砂子屋書房

c0073633_715259.jpg
『青井史歌集』より、好きな歌を気の向くままに抜き書き。以下引用。



『青井史歌集』  現代短歌文庫51  砂子屋書房

空の広さ忘れてゐたる日月に桃ひらき桃小さくみのる  青井史

しねしねとどこもやはらか猫の子をひと夜あづかりねかさずにおく

貝になりたきわがかたつむりゆつくりと海へ歩みぬ海ははつなつ

鎖いつぱいに近づく犬のあたたかさいづくか男友達の友情に似る

妹より吾より若き日の母の春の百花の縫ひつぶし帯

銀紙にて折りゆく駱駝小さきこぶひとつもたせて旅立たせやる

売られゐる春の兎のただ白く風に背(そびら)を吹かれゐるなり

いづこにゐても寂しさは同じさらば空が倒るるまでを寂しくをらむ

まつすぐ歩くとすぐ青空に突きあたるそんな海沿ひの町に棲みたい

春の森さわめき匂ふ雪鴉蛇木ねずみらみな母となる



引用終わり。7首目、普段は結句の「なり」があまり好きになれないのだけれど、この歌は全体のやわらかさと「なり」がしっくりなじんでいていいと思った。

母であること、妻であることに対する違和感を詠んだ歌も多かったが、ここには引かなかった。今は、露骨に思いを言わない歌、ものに託して表現している歌の方が好き。
Commented by tsubo at 2008-12-03 21:06 x
桃もかたつもりもうさぎもいい。とりわけ海沿いが好き。
こうしてみると短歌って悪くない・・・
Commented by konohana-bunko at 2008-12-05 22:38
tsuboさま 好きな歌を、好きなように読むのが一番楽しいです。(^^)
by konohana-bunko | 2008-12-01 14:43 | 読書雑感 | Comments(2)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
プロフィールを見る
画像一覧