『アップルの人』  宮沢章夫

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もし宮沢章夫のエッセイで面白いのはどれ?と訊かれたら、『牛への道』や『わからなくなってきました』を挙げると思う。この『アップルの人』は、コンピューター雑誌に連載された文章をまとめたもので、アップルのコンピューターや製品の話が多い。その方面が好きな人なら、楽しく読めるだろうと思う。

以下引用。

《自分のサイトに私は膨大な日記を書いている。あるとき知人から、なぜ、あれほど原稿料にならない日記(=ブログ)を書いているのかと質問されたことがある。たしかに、日記を公開する行為は、「ブログ」という概念がなかったころには奇異なものとしてあった。なぜ自分の日常をネットで公開するのか。
私はその質問にいつもこう答える。
「あれは、野球で言ったら、いわば素振りです」
あるいはこうも答えられる。
「あの日記は公開スパーリングです」
ところが、質問者は、「でも、素振りにしては、ずいぶん力が入っているじゃないですか」と言ったのだ。このばかものめが。いいかげんな気持ちで素振りをするプロ野球の選手がいるものか。一振りに魂を注ぐのがプロの素振りだし、ボクサーのスパーリングだって真剣そのものだ。
ただ、「ブログの女王」のようなものに私はなりたくはない。なぜなら、私は男だからだ。だったら私は次のようなものになりたいと考えている。
「ブログの大将」
こうなるともう、「裸の大将」のようなものである。裸で素振りだ。汗が飛ぶのだ。》(p308-309「ブログを考える」より)

写真は職場のベニハスモモ(紅葉李)。来年も再来年もずっと、春が来るたびにこの花が咲いていますように。
Commented by かねちょも at 2009-03-13 11:09 x
ひっひゃっひゃっひゃ。すばらしくくだらないー(笑)
ほんと電車では読めないですね、宮沢さん。
Commented by konohana-bunko at 2009-03-14 21:27
「モノを叩く、壊す、力を外に向ければストレス解消。ならばバンドのドラマーのストレスはどうなる?」などと……まあくだらなくて、ほんまにすばらしいです。
by konohana-bunko | 2009-03-12 21:33 | 読書雑感 | Comments(2)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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