古本屋さんで編み物をする鹿柄Tシャツの女

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19日(火)、久し振りに電車で外出。橿原線ではまばらだったマスク姿が、西大寺で奈良線に乗り換えるとかなり目につく。神戸まで直通という心理的圧迫だろうか。新型インフルエンザ、もう、心配してもしゃあないよナ、大阪まで来てるということは奈良にも来てるっちゅうことやし、と、そういう自分も一応マスクをして出掛けてみたのだが、正直、自分の息で顔が暑い。

新大宮の駅で降り、奈良交通のバスで県立図書情報館まで。「県立図書館が近鉄奈良駅から移転して不便」と、もう何度も書いたけれど、また書いてしまう。そうかて往復の交通費1,220円あったら本が何冊も買えるやないですか!(但し、借りた本を郵送で返却できるようになった。これは非常にありがたい。)

目当ての本と、塚本邦雄『秀吟百趣』を借りて、奈良へ出る。今日はちりんさんとお約束してあった。

ご存知の通り、鹿の角は毎年生え替わる。春、古くなって落ちた角を落とし角という。(春の季語にもなっている。)
落とし角といっても、木の枝みたいなのがぼろんと落ちるのではない。奈良公園では秋の「角切り」で角を切ってしまうから、古い角は根元だけで、ビール瓶の王冠のようなかたちをしている。これが落ちているのを、ちりんさんが運良く見つけられた。
いいお守りになりそうだから、ストラップのように何かにぶら下げたいと思われたのだが、丸くて紐を通すとっかかりも何もない。穴を開けるのも難しいし、かといって袋に入れてしまったら折角の角が見えないし……というお話をブログでされていたのを読んで、思いついたのが、
「レース糸で編んだ網袋で落とし角をくるむ」
というプロジェクト。
というわけで、レース針とレース糸とにぎり鋏を持って智林堂さんへ参上、と相成った。
レジ横で椅子をお借りして、みしみし編むこと約1時間。その間次々と、本を買いにいらしたお客様方はさぞご不審を抱かれたことかと……。(何でこんなとこで編み物?しかもTシャツ鹿柄やし?)失礼いたしました。

で、こんなかたちに完成。どことなく亀っぽい?
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古本屋さんで、本に囲まれて編み物をするという、ぜいたくな体験をさせていただきました。何だかすごく落ち着いて根が生えてしまいそうでした。ちりんさんありがとうございます。幸運の落とし角、また見つけて下さいね。

*製作の様子および鹿Tのアヤシい奴はこちら→智林堂さんblog
by konohana-bunko | 2009-05-19 21:50 | 日乗

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり