燈花会に行った話のつづき。18時半に奈良駅を出て、東向商店街へ。年々、浴衣の人が増えている印象。北円堂の前を通って、五重塔。ボランティアの人たちが、ろうそくを入れるカップを並べている。親子参加のボランティアさんも。小学校1年生くらいの男の子が、ろうそくがいっぱい入った笊を抱えて来る。花のかたちのろうそくを一個一個、水の入ったカップに落とし込む。順番に進んでゆくと、カップがひとつ倒れている。男の子はカップを立て直す。立てたカップにろうそくを入れようとして、目を丸くして、「あっ!」とびっくり、
「お母さん、水入ってへんっ!お母さん!」
と叫びながら走っていってしまった。
例年は三重塔の下あたりで火が点るのを待つのだが、毎年同じ絵ばかりもどうかということで、五重塔から東へ歩いてみる。浅茅が原まで来たら、19時5分前になった。
赤いシャツのお兄さん(運営の係の人)に、「じゃあ、お願いします」と声を掛けられたボランティアさんたちが、チャッカマンを手に散らばってゆく。薄曇り、日は沈んでいる。空はまだ少し明るいが、木々は黒く影になっている。そこに、ろうそくの炎がぽつぽつと点き始める。淡い鴇色のひかり。わたしは燈花会の、この瞬間が好きだ。
「自分でするう~」
「こうやで」