『われらみな神話の住人』  笹原玉子

歌集『われらみな神話の住人』 (笹原玉子著/北冬舎/1997)より以下引用。
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練習曲(エチュード)をかさねかさねて天の父、あなたの子供はここまできました

晴雨 うつくしきひと顔をあげよこのままにして朝はくるもの

ここはくにざかひなので午下がりには影のないひとも通ります

みどりにはみどりの理由いつだつて春のあやまちは夏になること
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おかへりなさい十月の人わたくしはきつとあなたの処女地です

秋日和きみとふたりでする焚火まるでほんたうの人生みたい

空の星かぞへるために十指につづくゆびがいります恋人よ

私はかつて霧函になんでも飼つてゐた。羊も羊のコートの人も。

透きとほる耳もつものは森へゆけ虫が翅たたむ音ひらく音
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ひろつぱはねころぶところ空の耳そのかたつぽを杭にひつかけ

持つてゐますか? 前髪がみな風に切らるる額(ぬか)といふこの岸辺

大空の鍵盤に黒鍵はなし天使とは長調のかなしみ

骨組みのいとやはらかき身をもてばみんなみの風、風の一枚
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凍河(とうが)といふ名の馬を贈ります。ときにはおもひきり抱いてあげてください

ほの昏き昭和の森でちちははと川の字になり寝ねし日々あり

たどりつく岸辺はしらねどわたしたち川の字に寝る。遠くまでゆく
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Commented by おやめいけ at 2009-09-23 19:09 x
この小川も昔のままの流れは短くなり、メダカも少なくなりました。
Commented by konohana-bunko at 2009-09-23 20:55
おやめいけさま ご存知でしたか。どんどん市街地になってゆく中、残っていることが奇跡のようにも思えます。このままそっとしておいてほしい風景です。
by konohana-bunko | 2009-08-23 22:42 | 読書雑感 | Comments(2)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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