ハナミズキ

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マンションに、脚立を積んだトラックがやって来た。年に何度か、敷地内の植木の剪定をするのだ。今回はケヤキとハナミズキを重点的に切るらしい。
鋏の音がだんだん部屋に近づいて来る。
昼前、いよいようちの庭の前のハナミズキにとりかかった。脚立を立てて、ひょいひょいと登って手鋏を使う。歯切れのいい音がして、ぱさ、ぱさ、と、小さい枝が地面に落ちる。少し太い枝は小さい鋸でさっさっと挽いて落とす。
ハナミズキはちょうどきれいに紅葉していて、逆光に透けると何ともいえずいい紅色なのだ。枝の先には朱赤のつやつやした実がいっぱいついている。毎朝、ヒヨドリが食べに来る。先週からはジョウビタキも来るようになった。こどもがむしって、おままごとに使ったりもする。そんな葉っぱも実ももろともに、ぱちん、ぱちんと落とされていく。
ちょっともったいない。
でも冷たい雨降りの中、管理人さんが掃いても掃いてもきりのない落ち葉を掃除している姿も知っているから、しゃあないな、とも思う。
どんどん枝葉が透かされてゆく。最初は(ああ、あんまり切らんといて)と思うのに、ある程度進むと、何だかふっきれて気分が良くなってくる。(散髪と同じで、案外と木も気持ちいいんじゃないか)と、勝手な当て推量で思えてくる。
脚立が外され、竹箒が動き、トラックのエンジンの音が遠ざかって、静かになった。
紅葉と赤い実は3分の1くらい残った。木の上の空が広くなった。
by konohana-bunko | 2009-11-15 23:44 | 日乗 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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