『牛乳の作法』  宮沢章夫

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宮沢章夫さんの『牛乳の作法』には、演劇に関する文章がたくさん入っていた。以下引用するのは、軽井沢のホテルで行った、合宿形式の演劇ワークショップのはなし。

《二泊三日の期間中、ほぼびっしり授業をやったが、演劇のワークショップといって思い浮かべるような、発声の訓練とか、身体を鍛えるとか、ダンスのレッスンといったものはいっさいない。
「句会」
これは一例だが、尾崎放哉の自由律の俳句から学び、参加者らとともに俳句を詠むのである。たとえば放哉は、「すばらしい乳房だ蚊が居る」や、「墓の裏に回る」など、謎めいた句というか、ある放哉研究者の言葉を引けば、「何かを表現しようという意志の片鱗すら見られぬ」という恐るべき作品を残したが、ワークショップの参加者らも負けてはいなかった。
「前のやつだけでかい」
これは映画館で感じたことをそのまま言葉にしたという。
「イラン人が注文を取りに来る店で悩みを話す」
たしかにこの句には、よくわからない戸惑いが感じられるが、次の句は、どう考えていいかよくわからない。
「貝塚の貝を盗んだことがある」》
(p16「軽井沢で牛乳を振る」より)
Commented by tin_box at 2010-07-13 22:32
共感の発見に驚愕し、自分もそうしたいと思ったり願ったり。
by konohana-bunko | 2010-07-11 23:24 | 読書雑感 | Comments(1)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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