『伊東静雄詩集』  桑原武夫・富士正晴編

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『伊東静雄詩集』  桑原武夫・富士正晴編  新潮文庫より、以下引用。

淀の河邊

秋は来て夏過ぎがての
つよき陽の水の光に遊びてし
大淀のほとりのひと日 その日わが
君と見しもの なべて忘れず

  こことかの ふたつの岸の
  高草に 風は立てれど
  川波の しろきもあらず
  かがよへる 雲のすがたを
  水深く ひたす流は
  ただ黙(もだ)し 疾く逝きにしか

その日しも 水を掬びてゑむひとに
言はでやみける わが思
逝きにしは月日のみにて
大淀の河邊はなどかわれの忘れむ

(原文「来」「黙」は旧字体。)

写真、車窓より佐保川を望む。
by konohana-bunko | 2010-08-17 22:31 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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