『草色気流』  笠井朱実

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『草色気流』(歌集/笠井朱実著/砂子屋書房)より、以下引用。

姉おとうとさむき流星を待ちながら声合はせ読む「春はあけぼの」

シーソーがたがひちがひにかたむけり亡きひとに逢ふ四月公園

昔むかしたらふく花を食らひけむ守宮八手の花のごとき手

軒下に麻葉のきもの吊されて雨なり門家(もんや)古道具店

隣家にまちがひ郵便とどけゆくあをいサンダル草にしづめて

土耳古人葡萄牙耳人ふたひらの耳そよがせて海わたる春

君とわれとここに眠れり千年の記憶の果てのすすきかるかや

ゆく春を斜め斜めにひじやうなる階段はりつくビルの側面

少女らはスミス通りの雑貨屋の小籠の話きさらぎ電車

箱はさうと読むのださうだ百葉箱(ひやくえふさう)中庭のきよく不審なるはこ

わがむすこパン屋体験学習に落としてしまふたまご二十五

新井薬師門前町に子は住みてめろんぱん買ふ豆腐、傘買ふ

図書館のホルトノキへと繋がれて白犬百年主人を待てり

 奈良の叔父逝く
宵市の金魚露天にやがみゐてひとつすくひつ赤いたましひ
by konohana-bunko | 2011-02-18 10:28 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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