南の島

祖母は五歳のわたしに、南の島の話を繰り返した。石造りの家、窓から籠を垂らして買う野菜、洪水、空襲。わたしはまだ見ぬ美しい島を思い描き、いつかそこに行く日のために、挨拶のことばをいくつも教えてもらった。発音がいいと祖母に褒めてもらえたのに、今は何ひとつ思い出すことができない。
by konohana-bunko | 2011-06-13 10:28 | 空中底辺 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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