真昼の小景

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バケツと網を持った男の子がふたり、畦道を歩いている。後から、スーツ姿の男が追いついてきた。てかてかした革靴を履き、黒い上衣を着込んだ壮年の男。道の先で踏切が鳴りはじめ、三人は遮断機の前に並んだ。彼らの後姿は、身に覚えのない記憶のようだ。田圃の匂いと熱で、眩暈を起こしそうな、真昼。
by konohana-bunko | 2011-07-13 16:58 | 空中底辺

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり