引き手

こどもの頃の夜。布団に横になると、傍らに箪笥の引き手が見えた。楕円形の飾り金具の上に、薄笑いする唇のかたちの取っ手がついたもの。この引き手が怖くて仕方なかった。怖すぎてじっと見つめてしまう。すると目を閉じた後も、目の中に楕円形の残像がふわふわ浮かぶので、ますます怖ろしいのだった。
by konohana-bunko | 2011-07-11 17:01 | 空中底辺 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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