読書メモ 『大女伝説』松村由利子

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『大女伝説』 松村由利子 短歌研究社

古楽器をわわしき今に響かせて少し苦しきピリオド奏法

頂点とは悲しき極み信長の天正九年馬揃えの儀

春は鯨 大潮の夜ぽっかりとかすてら色の月が上れば

六月の鯨うつくし墨色の大きなる背を雨にけぶらせ

ニット帽に耳を隠して街ゆけば耳安堵せり誰も誰も見ず

ああ人はいやだと思う水無月の粘菌図鑑に原色多し

末端のライターとして書くときに編集部かくも遠き城なり

こんな男いじめてみたし旅に読む堀江敏幸はんなりとして


写真は高畑町にて。女の子、かわいいけど、何でさかさま?
by konohana-bunko | 2011-10-04 15:09 | 読書雑感

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり