読書メモ 『モーツァルトの電話帳』永井陽子

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『モーツァルトの電話帳』 永井陽子  河出書房新社

永井陽子、細切れにしか読んだことがなかったのでうれしい。
カバーに著者の写真があしらわれている。帽子をかぶって、喫茶店(?)の席に座っているところ。そういえば『サラダ記念日』(河出書房新社)のカバーも著者の写真だった。同じデザイナーの装幀だろうか。
これ言うてええんかどうか、著者の写真の表情が、全然しあわせそうに見えない……。

あまでうすあまでうすとぞ打ち鳴らす豊後の秋のおほ瑠璃の鐘

エジソンの竹より作るフィラメントへ思ひはおよぶ合歓の咲くころ

大雨が空を洗ひてのちのこと芭蕉がまたしても旅に出る

十人殺せば深まるみどり百人殺せばしたたるみどり安土のみどり

ちちと鳴きあはれ狂へる色彩に呑み込まれゆくゴッホのひばり

夏空のほとほとかたき群青も食ひつくすべし鵯の悪食

荷を解けばあかき南蛮人形がころがり出づる昼のたたみに

ぬけぬけと春の畳に寝てゐたり御伽草子の長者のごとく

のこのことファゴットの音歩みゆきまたかへりくる二百十日を

比叡山おばけ屋敷はいまもあそこにあるのだらうか なう 白雲よ

ひまはりのアンダルシアはとほけれどとほけれどアンダルシアのひまはり

仏壇の久遠堂とぞゆふぐれはほのかに春のひかりを灯し

酔(ゑ)ひたれば関八州は暮れがたの火のしましまや風のだんだら
by konohana-bunko | 2011-10-05 17:12 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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