ヨノミの木と蛇

近所の砂利道の傍らに榎の木がある。この木には大蛇が巻きついている。長さ十尺の藁の蛇。草鞋二枚を合わせたような頭から、赤い布の舌が垂れ下がっている。蛇は毎年六月に行われる隣町の祭の主人公。こどもに担がれ、町を練り歩いた後この木に巻かれる。榎のことを、この辺りではヨノミと呼ぶそうだ。
by konohana-bunko | 2011-10-12 19:46

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり