帽子娘

駅で帽子娘とすれ違う。わたしが勝手に帽子娘と呼んでいるだけで、本当の名前は知らない。二十代位の小柄な女の子。太縁の眼鏡にリュック、足許はサボかブーツといった着こなしは、派手目な森ガールか、あるいは鳥山明のキャラクターと説明できなくもないけれど、やっぱりちょっと違う。最大の特徴はやはり、彼女が必ず被っている帽子。
花の塊のような、尻尾の太い動物のような、あるいは異星の貴族のような大きな帽子――おそらくは自分で作ったもの――を、彼女は毎日被って歩いている。目立つ。それを見た塾帰りの中学生が、振り返ってくすくす笑う。わたしも見る。でも笑わない。よく似合っているし、とてもチャーミングだから。彼女は自分の旗をかかげて、胸を張って生きているのだ。
by konohana-bunko | 2011-11-22 14:46 | 空中底辺 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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