「短歌往来」より、宮崎信義のうた

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「短歌往来」2012年3月号、「宮崎信義のうた50首抄 関アツ子選」より、宮崎信義の歌を抜き書き。



昨日まで迫撃砲(はう)を運んでゐた傷馬(うま) ぐつぐつ肉が煮え泡だつ汁とともにのみこむ  『夏雲』

これが給料―と渡した妻のひび割れた手がいつまでもやきついている  『交差路』

ゆすぶってやれゆすぶってやれ 木だって人間だって青い風が好きだ  『急行列車』

ひろい豊かな水量だ満たされぬねがいのままに川を見ている  『和風土』

家のことはほったらかしにしてウタのことばかりして―というていたそうな  『梅花忌』

静になった病室に死んだばかりの妻と残されるほの白い谷底だ

今朝脱いだパジャマが棹にゆれているひょうひょうと街を見ている  『太陽はいま』

友の五十回忌が私の五十回忌でもあるような読経がつづく  『地に長く』

山が描(か)けるか風や水が描(えが)けるかあと一日で春になる  『千年』

九十二のじいさんがスーパーへおかずを買いに出る雨が降ってきた  『山や野や川』

ここしばらくいのちが居坐っている天気予報に似ているな  『いのち』



写真は淡路島にて。
by konohana-bunko | 2012-03-22 19:11 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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