『随想集 甦る記憶』より

串田孫一『随想集 甦る記憶』(牧羊社)〈1979)より、以下引用。

〈牛に近寄ってその大きな眼を見ると、涙を浮べている。睫毛の間からこぼれそうになっているのもいた。その本当の理由は私には分からないが、牛の、感謝に支えられた優しく悲しい思考が、あの巻毛の額の中を駆け巡るのではなかろうか。それとも、自分たちの知らない先祖の牛たちの姿が、瞼に甦って、その余りの逞しさに見蕩れているうちに、どうしてだか涙が滲み出て来たのだろうか。〉(p14「天上の鐘」より)
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淡路島で出会った子牛。牛って額につむじがあるんだなあ。
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by konohana-bunko | 2012-04-11 12:42 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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