万緑

電車が峠に差しかかる。田圃や家並が途切れ、線路の傍まで木々が迫ってくる。吊革に掴まって外を眺めていると、窓からなだれ込む緑に、眼の底まで揉まれているような気持ちになる。そんな緑の枝間に白く現れては遠ざかるのは、山法師の花、栗の花、蜜柑の花、茨の花。そして風にわっと翻る、葉裏の色。
by konohana-bunko | 2012-06-05 20:09 | 空中底辺 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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