やすたけまり歌集 『ミドリツキノワ』

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やすたけまり歌集 『ミドリツキノワ』 (短歌研究社)より、以下引用。

山木蓮うたい出せその手をうえにむすんだら春ひらいたら風

ジュズダマの穂をひきぬけばひとすじの風で河原と空がつながる

ながいこと水底にいたものばかり博物館でわたしを囲む

ならんでる黒いものより怖かった「かもじや」という看板の文字

なつかしい野原はみんなとおくから来たものたちでできていました

眠れるのですかあかるいところでも卵のなかの鳥のこころは

干潟再生実験中の水底に貝のかたちでねむるものたち

おもいでにあるレコードの溝ぜんぶつないだよりも遠くまで来た

熊はきらきらとみている乾燥剤青くしてゆくレンジのうなり

たまごかけごはんぐるぐるまぜている卵うまない熊とわたしで

あした産む卵を持ったままで飛ぶ ツバメは川面すれすれにとぶ

飴色に蛹はかわる まっしぐらに忘れる途中とわかる 見とれる



歌集は、新しければ新しいほど、素直に読めない。うちひしがれたり、違和感にひっかかったり、何でこんな風にうたうねん!と机を叩きそうになったり。
それは歌集のせいではなく、あくまでもわたしの内面の問題なのだが。

『ミドリツキノワ』は水を飲むように読めてうれしかった。
by konohana-bunko | 2012-06-21 20:56 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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