アトリ

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川沿いの桜並木はガードレールのない一車線の道で、花に気をとられていると後から来た車に警笛を鳴らされて飛び上がりそうになる。昨日そこを走っていたら散り始めの一樹が騒がしい。スズメに似ているがより柔らかい鳥の鳴き声がする。声の主を確かめてみたくなり、路肩に自転車を停め、歩いて戻ってみたら、それはアトリだった。五十羽ほどのアトリの群れが花の蜜を啄みながら目まぐるしく飛び交っていたのだった。木の下に立つわたしの目の前を、アトリが毟った桜の花が、五弁の形を保ったまま、竹とんぼのようにくるくる、くるくると舞い落ちていった。アトリから挨拶をしてもらったような気がした。
by konohana-bunko | 2013-04-03 17:51 | 空中底辺 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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