読書メモ 大口玲子歌集 『トリサンナイタ』

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大口玲子歌集 『トリサンナイタ』(角川短歌叢書/2012)より、以下引用。

筆先を水で洗へばおとなしく文字とならざる墨流れたり

この夜を耕されむと横たはる人体ありて人を待ちをり

酔別ののちの李白を長く思ひ独りのわれは氷を握る

大聖堂小聖堂ある教会の小聖堂に木のキリストが居る

「下駄履きは禁止」と掲げ雪の日の東北大学附属図書館

乳頭に馬のあぶらを塗りながらをりをり馬のまばたきをしつ

寒色のピカソ「母子像」八本の手首足首いづれも太し

雪の夜おもむろに子が開きたる絵本のきつねにきつねのにほひ

一時間六百円で子を預け火星の庭で本が読みたし

広瀬川おほかた凍り白鳥が泳ぎ割りたるひとところあり

瓦礫のなかにあまたの硯ありしこと電話に告げ来し夜を忘れず

引用終わり。
「吾亦紅」の章(幼児虐待のニュースを詞書にした一連)は読んでいるこちらも息が苦しくなった。
by konohana-bunko | 2013-04-28 20:30 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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