うたあつめ1 風景、欠けた。

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「うたあつめ1 風景、欠けた。」 とみいえひろこ (2013年7月16日発行)より、すこしだけ以下引用。



にゃあ、と泣いた。ニセモノ入れのかんかんにニャア子の夜のひげをしまいぬ

わかる、どうして石が濡れてとどまっていたのか初夏白昼

向うには港、朝鳥、声、大人、海辺、あこがれ、桜、空、空

湯が冷めて脚から青い光り流れつらさうな女が濯がれてゐる

藻 ゆらゆら オレンヂが降る とまる泡 おちる泡 藻の糸がきしんで

線に潜りわたしは奔る絹糸を吐くほどに細く見えなくなって



とみいえさんの歌を読んでいると、不思議な既視感にかられる。知らない筈、体験していない筈のことなのに、身体の深い部分が勝手に(知ってる、知ってる)(でも違う)(わからない、わからない)と、とめどなく共鳴りを始める。あまりじーっと繰り返し読んでいると、その共鳴に内から小さく破壊されて、身体から何かが滲み出てしまいそうなので、そこがちょっと(いい意味で)怖かったりもする。きっと、好きなんだな。わたしはとみいえさんの歌が。
by konohana-bunko | 2013-09-04 20:31 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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