フィルター

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こどもの頃は古本が嫌いだった。本が汚れていたり傷んでいたりするのが耐えられなかった。図書館の本も好きではなかった。本は新しいものを自分用に買って、買ったからには決して手放さないものだと思い込んでいた。かと言って、モノとしての本を大切にするわけではなかった。おやつを食べながら本を読むので、お菓子のかけらをよくこぼした。
古本のよさに気が付いたのは大人になってからだ。
短歌を始めてからは、古本および古書店への依存度が格段に増した。普通の本屋さんには短歌の本はあまりない。歌集や歌書は発行部数が少ない。また、どうしても、昔の歌の本を読みたくもなる。古本屋さんの独擅場である。
欲しい本が決まっている時は『日本の古本屋』を利用することが多いが、最近は努めて古本屋さんも覗くことにしている。本は「背」を眺めるのも面白いということに気付いたのがつい最近の話。
古本屋さんに並んでいる本には、時間と人の目と手のフィルターがかかっている。まっとうな本に相応の値段をつけられるようになってはじめて、胸を張って「古本屋です」と名乗れるのだろうと思う。わたしはせめて、古本屋さんに値段を付けてもらえるような本を作れる書き手になりたい。
by konohana-bunko | 2005-11-08 21:20 | 古本屋さん開業記 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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