玉突き読書

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金井美恵子から解放されたとたん、とにかく明るくて、穏やかで、わかりやすいものが読みたくなる。ちょうど手許にあったのが『口丹波呑呑記』(田島征彦/新潮文庫/1986)。一気に読んでしまった。『じごくのそうべえ』を息子どもに読み聞かせしたことをなつかしく思い出す。あたたかくユーモラスに書かれているけれど、畑を作り絵を描くことで家族を養い生きていくというのは、これはほんまに並大抵のことではないやろうな、と思う。生命力のみなぎる絵を描く人だと前々から思っていたが、逆だ。生命の力がみなぎっている人だからああいう絵ができてくるのだ。

『添寝の悪夢 午睡の夢』の中に、宮沢賢治の『貝の火』に触れた文があった。未読だったので青空文庫で読んでみる。うーん、これはまた何とも言えず重い童話…。貝の火の描写が非常に美しい。以前図書館で借りて読んだ『ジャータカ・マーラー 本生談の花鬘』(干潟竜祥/講談社/1990)のことを思い出す。釈迦の過去生の妃が愛でる紅蓮華青蓮華、また釈迦の前身である神々しい鹿。宮沢賢治の描く貝の火は、それらのめくるめく表現と同じ光を放っているように感じた。
by konohana-bunko | 2005-11-18 22:02 | 日乗 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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