杉本健吉展

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所用があって近鉄奈良駅まで出向く。平日なのにそこそこな人出。まずは用を済ませて、その足で元興寺へ。銀杏の黄葉がきれい。
五十二段を通って興福寺前へ。今日は鹿がいた。雄鹿のグループで、観光客にせんべいをもらったり、芝の上に箱を作ったりしている。角のない頭と頭を突き合わせ、力比べをしているものもいる。恋の季節なのだ。時折「ミィー」とも「フィー」とも付かぬ鳴き声も聞こえる。「しかぞなくなる」、だ。
登大路を渡って、県立美術館へ。杉本健吉展。以前薬師寺で、杉本健吉作の散華(とてもかわいらしい伽陵頻迦の絵)を見かけてから、どんな絵を描く人なのか気になっていた。素朴だけれど、線にやわらかい力があって、好きな絵だなと思う。見ていてこころが和む。会津八一、入江泰吉、須田剋太とも親交があったという。すごい人のところにはすごい人が集まるんやなあ。感心しながら展示の前を進んで行って、静物画のところで足が止まった。壺の絵なのだが、その壺が絵からぽこんと浮き出て、本物の壺になっていたのだ。(えっ)と思った。近寄って目をこらす。それはどちらかと言えばラフなタッチの作品で、そう上質でもない紙の上に、コンテの線と面で描かれている。しかし少し離れて見ると、壺はにわかに丸くふくらんできちんと重みを持ち、おまけに釉のかかった表面に光があたってつやつやして見える、いや、いるのだ。絵を見てこんな感じを受けたのは、はじめて。絵って、すごいなあ…いやあ、ほんまにびっくりした。
by konohana-bunko | 2005-11-24 22:01 | 日乗 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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