カラー版 本ができるまで

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『カラー版 本ができるまで』 岩波書店編集部編 岩波ジュニア新書

本と印刷の歴史と技術についての本。グーテンベルグ、ターヘルアナトミア、活字、紙型、製本ラインなど写真がいっぱい入って、ちょっと図鑑風。文選の写真を見ていて、『銀河鉄道の夜』のジョバンニを連想する。『路傍の石』の吾一少年がランプ磨きをして働いたのも文選工場だったような記憶があるが、こちらはあやふや。

以下引用。

精興社はカラー進出間もない昭和四〇年に、福音館書店の仕事を受注します。福音館の絵本などは、原画を直接カメラ撮りして分解する方法をとっていました。大きなカメラに原画をセットして撮影を始めますが、四版の分解がすべてうまくいったことが確認できるまで原画をはずすことができず、このカメラ撮りも一日にせいぜい二点ほどしかできなかったそうです。(略)深沢さんは、アナログ作業と格闘していた頃と今を比較してこう言います。
「(略)フィルムも昔の方が銀の量が多く、しっかりしていました。福音館書店の絵本などは、一〇〇刷を超えるロングセラーがありますが、三〇年以上前のフィルムが今でもしっかりしています。(略)」
精興社でも一九七〇年には、二工程のスキャナが導入されます。以降カラー印刷の技術は日進月歩で、製版カメラはやがてその使命を終えます。スキャナの性能はどんどん上がり、九〇年代後半には途中の過程でフィルムを直接扱う必要のない、デジタルの世界に入りました。(p145-147)

引用終わり。こどもの頃読んだ『てぶくろ』や『じめんのうえとじめんのした』はこんなふうにして作られていたのかー。

印刷技術のデジタル化で、活版印刷がほとんど使われなくなったという記述がある。(p105)時折、歌集で、印刷された文字がほんの少しでこぼこしているように感じるものを見かけるのだが、あれは活版印刷ではないのだろうか?

今度本を作る時には、印刷屋さんや製本屋さんの現場も見学してみたいなあと思う。
by konohana-bunko | 2006-01-06 16:32 | 読書雑感

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり