『アースダイバー』『全・東京湾』

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『アースダイバー』 中沢新一 講談社 (2005)

現代の東京の地図に縄文時代の地図を重ねてみると、縄文時代の土地の性質(縄文時代の陸・海・その境界である「ミサキ」)というのが今の街のありようにも濃厚な影響を及ぼしている、と著者は言う。このことに気付いた著者が、重ね合わせの地図(Earth Diving Map)を片手に、東京という地に湧き出すエネルギーの源を探り当てようと時空深く潜ってゆく――といった趣向の一冊。
写真がいっぱいあって眺めているだけで楽しい・・・と言いたいところだが、この写真が全体に不気味。しかし本文と実にマッチしており、また時には言いたいことを文章よりもよく語っていて、本としては実によくできていると思う。
わたしは東京にはまったく土地鑑がない(脳内白地図状態!)ので、中沢新一の幻想(妄想?)がどんなに驀進してもいくらでもついていける反面、読んでも読んでも実感が伴わず頼りない気分につきまとわれた。麻布と赤坂、銀座と新橋と言われてもその街の匂いがわからないのだ。うーん。中崎町とか上本町とか四貫島なんかやったらようわかんねんけどなあー。

この本を読んで行きたいと思ったスポットは「本郷の金魚坂」「お酉さまの長国寺」。

『全・東京湾』 中村征夫 新潮文庫 (1992)

海洋写真家のルポルタージュ。もちろんこちらも写真がたくさん。東京湾のことはわからなくても、水中の生物や漁業や漁師さんについては全然知らないわけではないので興味深く読むことができた。
特に、「東京湾の魚は食えるか?」また「海から食卓までカレイを追跡」という章節は、(この「東京」は「大阪」にそのまま置き換えられるのんとちゃうやろか)と、思わず喰い入るように読んでしまった。漁師さんへの聞き取り調査、またやってみたいなあ。聞き書なんか書けたら楽しいやろね。

写真は庭の臘梅。今年はさすがに寒かったせいか、1月も10日を過ぎから咲き始めた。
by konohana-bunko | 2006-01-20 22:36 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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