『砂の魚』 銀色夏生

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切なくなったり胸がねじれそうになったり繊細だったりしそうな本は、苦手で、遠ざけるようにしている。どんないい話でも、「泣ける」なんて謳い文句で売られてたら、ダメ。(わたしはネ、「揺れる乙女心」ちゅう柄やないの。)そう、思っている。へそ曲がりと言えば、それまで。本当のところは、ごっつい泣き女やから、そういう本を読んで動揺するのがしんどいのだ。

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銀色夏生は『いやいやプリン』につづいて2冊目。『いやいやプリン』は息子2号がめずらしく「これ買って」とねだった本。主人公であるわがままなプリンが「いやいや!」と首を振り続けていたら遠心力でカラメルが飛んでいってしまって……というシーンを覚えている。面白かったには面白かった。が、続けて別の著書を読んでみたいとは思うほどではなかった。

『砂の魚』は、かっちりした本の造りに惹かれて手に取った。開けてみると、これは写真集。アメリカ南部やハワイ、プエルトリコなどで撮った写真に、キャプションや、短い詩がついている。写真はうまい。これで、詩が甘ったるかったら買わないところだが、いいんだこれが。

以下引用。

大人になり
大人の瞳にほっとする
もう子供には帰りたくない
もう二度と

いたずらに傷ついて
笑うたびに泣いた
やさしさや
愛を
間違って求めて
行き止まりの海で
つめたくされた
繰り返し
繰り返し
その波音が聞こえなくなるまで

大人になり
大人の瞳に
意地悪な輝きを見つけた
それはとてもおもしろく

もう子供には帰りたくない
もう二度と



純粋な人なんて近づきたくないな
純粋な人はなんだかめんどくさい
純粋な人ってどんな人なんだろう
純粋な人に会ったことあったかな

心を汚されまくり
世の中のイヤなところを見まくって
それでもヒネなかった
そんな人なら会いたいけど

引用終わり。正直、銀色夏生を見直した。続けて買って読むかどうかはわからない(苦笑)けれど、この本は手許に置いてもいいかと思う。

写真、ご近所の生垣。房咲きの、小ぶりなバラ。
by konohana-bunko | 2006-06-04 21:28 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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