『5メートルほどの果てしなさ』 松木秀

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「短歌人」所属の松木秀さんの第一歌集。以下引用。

カップ焼きそばにてお湯を切るときにへこむ流しのかなしきしらべ

核発射ボタンをだれも見たことはないが誰しも赤色とおもう

親指をナイフもて切る所からはじまる優良図書の『坊っちゃん』

あるときははらはらとふるかなしみの胡椒としての八月の雨

自動改札をくぐれば月の下ひとりひとりはひとり/ひとりへ

ふさふさと快癒を願う千羽鶴ぎゅうぎゅう詰めのまんなかの鶴

ゆうらりとわれのうしろをゆくものはこの世のことのほかにはあらず

引用終わり。

アフォリズムの横溢。インターネット上で、横書きで読んでもぎこちなさを感じない。読んでいて気持ちがいいのは、己を語らないところ、非常に乾いた表現であること。もし物足りないところをあえて言うとすれば、音のひびきや、ことばのイメージでうっとりさせてはもらえない、というところか。ふだん和歌/短歌を読まない人も、楽しめる歌だと思う。

(松木秀歌集『5メートルほどの果てしなさ』 歌葉28 BookPark 1,500円+税)
Commented by やまんね at 2006-07-30 04:45 x
歌集のタイトルも考えさせられます。己を語らないところが気持ちいい・・・適切な指摘ですね。どの歌もスパッと一刀両断で気持ちがいいです。千羽鶴なんて唸ります。
Commented by konohana-bunko at 2006-07-31 16:41
やまんねさんのタイトルも楽しみです!(^-^)
by konohana-bunko | 2006-07-29 22:40 | 読書雑感 | Comments(2)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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