クロネコジプシー

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最近、本の発送に、クロネコメール便を使うようになった。以前は冊子小包を使っていた。お客様からいただく問い合わせのほとんどが「メール便は使えませんか?」だったので、ご要望にお応えして対応し始めた次第。
出荷の方法は、夫に持って行ってもらうか(夫の会社に集荷が来る)、富雄で宅急便を扱っているあるお店から出すか、どちらかである。その日は出勤だったので、梱包した本を富雄まで持って行った。
いつものお店に、9時少し前に着いた。早速預かってもらおうと扉を押したら、鍵が閉まっている。灯りはついているのだが、誰もいない。
仕方がないので本を持ったまま職場に行った。
3時半頃、仕事を終えて、またそのお店に行った。今度はちゃんと開いていた。(やっと発送できるぞ!)「メール便お願いします」と本を取り出すと、お店の人、
「すみません、今集荷行ったところなんで、明日しか出せないんですけど……」
ええっ。どうしよう。困ったなあ。
お店の人は、明日しか出せないんですけど、と言ったきり、黙ってしまった。それでもよかったら預かりましょうか、とか、どうされますか、とか、何か言ってほしかったのだが、ほんまに黙ってしまったので、何だかすごくばつが悪い感じがした。
「そしたら、いいです」
全然よくないのだが。本を持ったまま店を出た。
さあ、どうする。歩いているうち、駅のホームから見えるお米屋さんに、宅急便の看板が出ていたのを思い出した。そこやったら、出せるかも。すぐ近所やから、そこも集荷終わってるかもわからへんけど、尋ねるだけ尋ねてみよう。
坂を上って駅の反対側へ。お米屋さんのガラス戸をがらがら開ける。
「すみません、宅急便、まだ間に合います?」
おっちゃんとおばちゃんが出てきた。「今日は、ええと、まだ来てないからいけますよ」
(やった!)
「メール便でお願いします」
「あー」おっちゃんが気の毒そうな声を出した。「うちねー、メール便やってないんですわー。えらいすんませんねー」

本の重さで気力がめげてきたのでとにかく電車に乗る。(うちの近所で出せるとこってあったっけ?)わたしの通勤径路にはとにかくコンビニがないのである。家の近所にやっとコンビニ出来たと思ったらサークルKだったし……。(サークルKはゆうパックを扱っている。)

(お客様に「1日遅れます」とメールするしかないか……)と、電車を降りた。
改札を出たところで、目の前をクロネコヤマトの制服を着た人が2人、横切った。
走って追いかけていって、トラックのところで直に手渡して、出荷完了。

この日ばかりは、クロネコヤマトの制服がきらきらと光り輝いて見えたのであった。
by konohana-bunko | 2006-10-01 10:40 | 古本屋さん開業記 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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