拾う

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冬のはじめの頃だった。今にも雨が降りだしそうな薄暗い午後、わたしとたづちゃんは小学校の校庭でどんぐりを探していた。小学二年の時のこと。
学校にはどんぐりのなる木はなかった。だからどんぐりもあるわけはなかったのだが、わたしたちはあきらめきれなかった。校庭の隅にやって来た。そこは周囲より少し小高く、丘のようになっていた。カイヅカイブキの木がそこを取り囲むように植えられていた。芝生の真ん中に、百葉箱があった。百葉箱の扉はこわれていて、中には温度計も何もなかった。
「どんぐり落ちてたらええのになァ」
わたしとたづちゃんはそう言い言い、芝生に座った。すると、地面にぽつ、ぽつ、と何か落ちてきた。雨だ。大粒の雨。雨降って来たし、帰ろっか。
灰色の空を見上げた。空から黒い粒々が落ちて来るのが見えた。ばらばらっと芝の上に、落ちた。雨に混じって、どんぐりが空から降って来たのだ。
わたしたちは大喜びでそれらを拾い集めた!帽子の中に入れた。全部で20個はあった。雨はじきにやんでしまった。わたしたちはどんぐりを持って帰って、先生や親に見せた。だが、空から落ちてきたと話しても、誰も信じなかった。
Commented by つぼ at 2006-12-15 12:58 x
楽しいです。神様は意地悪だから、そんなことしないでしょう。雷様かもしれませんね。どんぐりを落とそうとして、雨も少し落としてしまったのだな。
by konohana-bunko | 2006-12-14 21:38 | 空中底辺 | Comments(1)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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