ナラ

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『ナラ・レポート』津島佑子より、以下引用。

――……ナラって古い墓地みたいなところなんだ。苔の生えた、こわれかかった寺がおばけみたいにたくさん、居残っている。そんなのも全部、きれいにこわしてやりたいけど、数が多すぎてきりがない。大仏がここの親分なんだから、大仏さえこわせば、ほかのおばけみたいな寺もきっと、びっくりして消えてしまうよ。……(p69「ナラ」より)

母恋いの鐘と子恋いの鐘が、ごおおおんごおおおんと鳴り競うような小説。読んだのはもう3年も前だけれど、今でも鹿を見ると森生少年のことを思い出す。

今日の夜のこと。カイロプラクティックの治療を受けての帰り、上本町駅の地下ホームから出る、難波発名古屋行き特急に乗った。斜め前に、始発の難波から乗っていた人がひとり。特急券を持っているにも関わらず、上本町から乗った人に「そこ、わたしの席ですが」と言われて移動している。(?)と思ったが、普段特急を利用しない人がまごつくことはよくあることなので、その時点ではそう気にとめなかった。
次の停車駅、鶴橋でまたたくさん人が乗って来る。鶴橋を過ぎると大和八木まで止まらない。
車内に車掌さんが回って来た。
車掌さん、件の人のところで立ち止まる。
「特急券拝見いたします」と、言う。やはりその人は、指定番号の席と違うところに座っているらしい。
「はい」その人が特急券を差し出す。車掌さん、(あ!)という顔になる。
「これね、違う電車に乗ったはりますわ。この電車、生駒行かないんですよ、次、八木に止まるんですよ」
「えっっ!」
同じホームから1本あとに出る、難波発奈良行きの特急と勘違いして乗ってしまったらしい。

車掌さんから、「八木から西大寺を経由して生駒へ出る乗り換え」の説明を受けていたが、その人、相当がっくりしていた。何とも気の毒なことだった。
by konohana-bunko | 2007-02-05 22:16 | 日乗 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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