落ち葉
2007年 11月 20日
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玉城徹の評論『近世歌人の思想』を読む。今、3分の1くらい。年に1回くらい、むずかしい本読みたい時が、あんねん。ほんま、年に1回だけやけど。
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武田百合子『遊覧日記』より、本棚にしまう前に抜き書き。
《子供の自分、キンカクシの上にのって便所の窓から覗くと(多分春から秋にかけてだ)、十文字の青白い花をつけた毒だみやりゅうのひげや笹の生えている日蔭の土手腹を、右(北)から左(南)へ青黒い模様の太い蛇が、遠くの何かにひっぱられているかのように、ゆっくりとおとなしやかに移動して行くのを見ることがあった。家の主(ぬし)だから、そっとしておいてやらなくちゃいけない、と年寄りに言いきかされていたから、息をつめて、尾が消えるまで見送った。そういう日は寝るまで頭の中や眼がどきどきしていて、いつもより宿題なんかもはかどった。》(p93「藪塚ヘビセンター」より)