驚くまいか

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昨日短歌新聞――この「短歌新聞」が届くたびに「恐怖新聞」を思い出すのはわたしだけか?――が届いたので、読む。玉城徹氏の連載「子規を聴く 17」、今回のテーマは【口語の歌】。子規の「風呂敷の包を解けば驚くまいか土の鋳型の人が出た出た」という歌について書かれている。以下引用。

《さて、この歌の「驚くまいか」は、どう解すべきであろうか。ちょっと、まごつく。ふつう「まいか」は、人を誘って、自分の意思を示すのである。「行かまいか」あるいは「行こうまいか」は、「さあ、行こう」というぐらいの意である。
ところが、この「驚くまいか」は、その用法とは、少しずれたもののように見える。「驚くではないか」という詠嘆のつもりかも知れない。
いったい、愛媛県松山のあたりで、こういう方言を用いたものかどうかは、誰か、調べてもらいたいものと思う。結句の「人が出た出た」は、その時の感じが躍動して巧みなものである。》

どなたか、松山ご出身の方、いらっしゃいませんか。



「まいか」と「方言」で思い出したのは、讃岐の伯母のこと。父は讃岐高松の出身で、若い時に大阪に出てきたために、讃岐ことばのイントネーションで大阪弁を話していた。一方、父方の伯母は讃岐国から一歩も出たことのない人だった。
こどもの頃、父の郷里に行くと、伯母があれこれと話しかけてくれる。伯母のことばは、父のことばに似て親しく響くのだが、大阪育ちのわたしには、伯母が何を言っているのか、半分くらいしか聞き取れなかった。
父は横で、にやにやしているだけで、翻訳はしてくれない。
その伯母にある時、「おいでまい」と言われて、わたしは混乱してしまった。
ご存知の方も多いと思うが、「おいでまい」というのは讃岐のことばで「来て下さい」の意。伯母は「また高松に遊びにおいで」と言ったわけだ。それをわたしは(〈あんたはもう来んやろう〉というのはどういうことなん??)と勘違いしてしまった、という話。

今でも何かの折に、讃岐ことばを耳にすると、こんな些細なことを思い出してなつかしい気持ちになる。



写真、風草木さんにて。
Commented by つぼ at 2007-12-15 08:29 x
「おどろくまいか」は、「おどろくではないか」あるいは「おどろいたことに」と、私には感じられます。・・・ちょっと待ってね。
まい(助動詞)①打ち消しの推量②否定の意志③当然、適当の打ち消し④不可、禁止
まい(助動詞) (東海地方で)勧誘の意をあらわす。
ということは、「おどろかないだろうか、いや、おどろくにちがいない」でいいのでは?
Commented by つぼ at 2007-12-15 08:35 x
私は名古屋出身なので、「おろどくまい」の「まい」が勧誘だという用法がかえって思いつかないのかも。
「やりましょう」は「やろまい(か)」、「行きましょう」は「いこまい(か)」、「おいでまい」とは言わないな。「またこやぁ」
Commented by konohana-bunko at 2007-12-17 14:49
つぼさんの口語訳に賛成します。(これが驚かずにいられようか)といったニュアンスも感じられます。
こういう、素朴でおおらかなユーモアのある歌はいいですね。
by konohana-bunko | 2007-12-12 22:09 | 日乗 | Comments(3)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


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