本三題

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2006年に出た『曳舟』を、今頃読む。

夜の更けの子供の部屋に入りゆきし足は踏みたり人形の肉

ほそき陽の差しこんでいてなにかしら秋は箪笥がなつかしきとき

抽斗の古(ふる)消しゴムを割りたれば中は白かりずいずい消える

銭湯の裏にまわれば春風にうまく立てない葱ぼうずあり

花籠に月を入れて と古(いにしえ)の女うたえり女とは声  *閑吟集

雷雲の近づいてくる夜の部屋にセロテープ切る銀のぎざぎざ

(歌集『曳舟』 吉川宏志著 短歌研究社 より)

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オークションで古本を1冊、お買い上げいただく。買って下さったお客様と、その本の著者のお名前が、同じ。メールを最後まで読むと、「自分の著書なのですが、絶版になりまして……」とのコメントが。著者の方にお買い上げいただいたのは、はじめて。ちょっと、うれしい。

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心斎橋のブで買った『巻頭随筆』を、ぱらぱら読む。文藝春秋の巻頭エッセイを100篇まとめたもの。串田孫一のエッセイの冒頭は、こんなの。

「拾得物」  1971・12 串田孫一

駒形で「どぜう」を食べ、浅草へ来て電気ブランを飲んだことがあった。ずっと昔のことである。

(『巻頭随筆』 文藝春秋編 文春文庫 より)

ぬわー孫さま何といなせな。
Commented by やまんね at 2008-05-30 22:09 x
あ~いい短歌ですね。吉川宏志の『青蝉』もよかったな~
Commented by konohana-bunko at 2008-05-31 22:34
やまんねさま 「人形の肉」と言われて、どきっとしました。『青蝉』、どこかで見つけたら読んでみます。
by konohana-bunko | 2008-05-29 22:43 | 日乗 | Comments(2)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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