『石榴が二つ』  玉城徹

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『芭蕉の狂』『石榴が二つ』『樛木』と順番に読んできて、好きな歌の書き抜きをしたいしたいと思いながら日が経ってしまった。机の上が片付かない。



『石榴が二つ』(玉城徹著、短歌新聞社、2007)より、以下引用。

国原ゆただに傾き大いなる山こそ立てれ雪あらあらと

いろいろに花まちぞらを染むる日やながめて行かむ車ながらに

山一つ水をへだてておぼおぼとわが前にあり霞の中に

また一つますぐに昇る羽たたきは屋(や)のへり目ざすかなしきまでに

二、三(ふた、み)もと青き茂りを見下ろせば小家(こいへ)の庭に壜いくつ照る

赤らひく鳶のからだが自在なる翅(つばさ)のもとにつきたりあはれ

あきらかに一つびとつを壁立つが春のくもりにふるるごとしも

しじみ蝶しばらく飛びぬここにして酢漿(かたばみ)ぐさの花立つるへに

浮く鴨のさびしらにしてしばしばも嘴(はし)をつけたり流るる水に

家(いへ)むらを虚空にひとつ色たちてよぎるを秋の胡蝶とは見つ


「おぼえ書き」より、ふたたび引用。

「自然」という言葉は、最近は、誤解され易いから、控えた方がよいかも知れない。わたしも、その中の微小な部分であるような全体を考える。その全体の中から、歌は生まれてくると思って善かろう。自分は、その伝達者に過ぎない。
それ故に、それは人人の胸にも伝わるのであろう。伝達者としての任務を、出来るだけ忠実にはたしたいと思うが、力の及ばぬことを、つねにおそれるのである。

Commented by souchantukuchan at 2008-06-26 10:17
こんにちは。
こういう歌に出会うと、月並みですが、日本人でよかったなあ~と思います。
ここに今在ることも自然。
謙虚な気持ちになる瞬間、心地がよくなるのは、なぜかなあ。
Commented by konohana-bunko at 2008-06-27 10:37
souchantukuchanさま ご感想、何よりうれしく、ありがとうございます。またこれからもいろんな歌のメモを書きますので、お手すきの折に見てやって下さい。
by konohana-bunko | 2008-06-25 21:53 | 読書雑感 | Comments(2)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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