銅版画の日曜日

日曜日、銅版画の体験コースのため大阪へ。何でまた急に銅版画かというと……わらしべ長者みたいに話が長くなるので、「ひょんなきっかけで」としておく。まあ人生のできごと、大抵は「ひょん」がきっかけやネ。

銅版画を作るのははじめて。学校の美術の時間でも、さすがに銅版画はやったことがない。自分が忘れないために、どんな工程で作ったか書いてみる。

1)銅板の下準備をする

銅板は0.5mmの厚さのもの。これを任意の大きさに切る。今回は6cm×5cm。裏面にはあらかじめ壁紙が貼ってある。(腐食防止のため。)縁全体に金ヤスリをかけ、面取りをする。(縁で紙を傷めないため。)、表面を耐水サンドペーパーで磨く。磨いたら、グランドという液を全面に塗り、乾かす。グランドはとろっとした焦茶色の液体で、乾くと色つきの木工用ボンドみたいな感じ。

*今回は体験コースだったので、この1)の工程は先生が準備して下さっていた。

2)銅板に下絵を写す

銅板の上にカーボン紙、その上に裏返したトレーシングペーパーを重ね、ボールペンでなぞって転写する。(下絵は反転させること。判こを作る要領。)

*この時あまり筆圧はいらない。おいらボールペンで力任せになぞったらその筋まで版画に出てしまったよ。ちと失敗。

**版画にしたい絵はあらかじめ描いて、トレーシングペーパーに転写するところまで家でやっておいた。
下絵を見た先生「ほお。西原理恵子みたいですねえ」
りえぞうさん好きなのでかなりうれしい。

3)銅板に線を刻む

ニードル?(道具の名前がわからない。針の短い目打ちみたいなの)で、下絵の線に従って線を刻んでゆく。力いっぱい削る必要はない。表面を覆っているグランドをひっかいて削り取る気持ち。

*「彫る」というよりは「ひっかく」。木版画みたいに銅板を彫るのでなくてよかった。(彫れるかいな硬いのに。)

*この作業、妙にハマる。グランドは粘り気があって滑らない、銅板はつるっとしているけれど角度によっては「きしっ」と針先が喰い込む、どちらもちょっと油断ならない(いや単に慣れてないだけですが)感じを味わいながら、ゆっくり、根気よく。だんだんトランス状態に入ってくる。
先生「銅版画はね、塗りつぶす、ということはできないんです。黒くしたいところは、線を重ねるんですね」
「もっといっぱい描き込んでもいいですよ。点点点点……ってやってもええし。水木しげるの絵みたいに。水木さんの絵って銅版画に通ずるものがあるんですよねえ」
先生、水木しげるロードの写真を見せて下さる。

4)銅板を腐食させる
塩化第二鉄?茶色い酸性の液に、銅板を浸す。グランドを削ったところは液が浸みて銅が腐食し、へこむ。グランドで覆われているところは、そのまま。おぉ化学反応。
腐食が済んだら、版を引きあげ、水で洗う。ホワイトガソリンだったか、ベンジンだったか?溶剤でグランドを洗い落とす。版の完成。

*今回は1時間浸ける。

5)印刷する

版にインクをつける。インクは濃くて、ねばりのあるものを、ちょっとだけ載せる。ゴムべらでぎゅっぎゅっと、押し込むように全面に伸ばす。寒冷紗で凸部のインクを拭き取る。紙でも拭き取る。
こんなに拭いてしもて色付くんかいなと思うくらい拭く。
紙はあらかじめ水に浸したものを使う。他の紙にはさんで余分な水気を取り、刷毛で表面の水気をならす。
プレス機の台に版と紙をセットし、別の紙とフェルトで押さえ、ハンドルをぐりぐりと回す。ローラーの下を通って出てきたら、紙をそーっとはがす。これ、どきどきするデ。

*試し刷りはこんな状態。
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このあと、アクアチントという技法もやった。(魚の背景、色がついているところ。)これも面白かったけどもう説明が長すぎるのでまた別の機会に。
c0073633_22382950.jpg
風先に双魚図いたく汚れつつ彼よ彼よと廻りてやまず  清水亞彦
Commented by 通りすがり(毎日) at 2008-08-18 15:35 x
ははは♪さすがのあとりさん何でもお上手!思わず貰い笑い??してしまった(^○^)なんとも楽しそうなお魚サンですねー♪
Commented by つぼ at 2008-08-19 08:12 x
面白いですね。工程も参考になります。参考にして、私もやるということではありませんが。。私の先輩がエッチングというのを相当やってました。なんかいろいろ工夫して、こういう技法でやったのは「世界で俺がはじめて」と豪語してましたが、傍目にはなにがなんやら・・
Commented by konohana-bunko at 2008-08-19 22:50
毎日さま これは、わたしも描いてて楽しかったです。

つぼさま 左右が逆になったり、白く残したいところを茶色く塗りつぶしたり、反対反対になる作業が多くて、途中で頭からケムリが出そうでした。
「世界で俺だけ」どんなスゴい技法だったのでしょうか。スゴい割に目立たないところがまた何とも……。
by konohana-bunko | 2008-08-17 22:13 | 日乗 | Comments(3)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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