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垂直の壁を登れるようにはならなかった

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某日朝、出掛けようと靴を履いたら、左足がもそもそした。靴の中に何か入っていたらしい。葉っぱか、紙くずか。硬いものではない。痛くないし、急いでもいたので、もそもそのまま駅に行って電車に乗った。
職場に着いて(あ、そうそう)と靴を脱ぎ逆さに振ってみたら、出てきたのは差し渡し10cmほどのアシダカグモだった。もののみごとにぺっちゃんこ。ああ何てかわいそうなことを。ど根性グモだったらよかったのに。いやそうやなくて、靴履く前に気付こうよ。
by konohana-bunko | 2007-05-30 22:17 | 日乗 | Comments(4)

小さな出来事  野口雨情

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「小さな出来事」    野口雨情

足の短い狛犬はポチに噛ませてやりませう
糸のたるんだ風船と空気のぬけた護謨毬はタマに噛ませてやりませう

弾機の廻らぬ自動車は鉄葉の台へ載せたまま馬車に轢かせてやりませう
翼のゆがんだ木兎は牛に踏ませてやりませうか、馬に踏ませてやりませうか、うしろの沼へ捨てませうか
飛べなくなつた飛行機と共に窓から投げませう

硝子の中の人形も明日はお暇やりませう
何つかの島へ着くやうに
島の人形になるやうに
桐の小函に帆をかけて――大川の水に流してやりませう


*ルビ 弾機…ばね 鉄葉…ぶりき 翼…はね 何つか…どつか

(『野口雨情詩集』彌生書房 p142-143)
by konohana-bunko | 2007-05-27 23:32 | 猫是好日 | Comments(3)

『スズメ百態面白帳』 大田眞也

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魚も好きだが小さい鳥も好きだ。小さい鳥の中でもスズメは日本一身近な鳥。身近すぎてかえって目立たないけれど、よく見れば結構かわいくもありたくましくもあり、なかなか面白い生き物である。著者は学校の先生をしながら、長年野鳥の観察を続けているフィールドワーカー。

写真を眺めているだけでも、飽きない。スズメの生態図鑑といってもいいくらい、たくさんの写真が収録されている。あんな小さくてじっとしていないものを、よくこんなにうまく撮れるもんだなあ。白いスズメ、黒いスズメ、群れ、番、産卵と子育て、羽づくろいも。
一番衝撃的だったのは、スズメ(幼鳥)を摑んだまま窓ガラスに衝突死したツミ(小型のタカ)の写真。この写真を見て(あ、この本は、売らない)と思った。

以下引用。

現在の家には生まれてこの方六〇年近く住んでいるが、ネコは私が物心ついたときからずっといる。(中略)近所では我が家を猫屋敷などとよんでいるらしい。ネコ好きなのでそんなことは気にならないが、一つだけ困ったことがある。それは庭に来るスズメをはじめ、野鳥を捕ることである。
野鳥のために餌台や水場を設け、出来るだけ自然に近い状態にということで庭木の剪定なども控え目にしているが、そのことがかえってネコにとっても忍び寄るのに都合よくなっている。野鳥を呼び寄せ油断させておいて捕るのだから背信行為もいいところで心が痛い。それに皮肉にも我が家にすみつくネコはどれも野鳥を捕るのが上手で困っている。これまでスズメのほかにもメジロやアオジ・ヤブサメ・シロハラ、それにキジバトの幼鳥などが犠牲になっており、半殺しにしたものを誇らし気にわざわざ見せに来るのにはほとほとまいっている。少しは私の気持ちや立場を考えてくれよと言いたいが、相手がネコではどうしようもない。(p41「困ったネコ」より)

(葦書房/2000年発行)
by konohana-bunko | 2007-05-23 22:34 | 読書雑感 | Comments(2)

『文房具52話』  串田孫一

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これはYahoo!オークションにて購入。
山の話のように神々しい断章は出てこないけれど、モノが身近なだけに最初から最後まで親しみを感じながら読み進んだ。
とは言うものの、古い話(もとの単行本は1978年に発行)なので、知らないことばもいくつかあった。広辞苑で引いて確かめてみる。

ようきが【用器画】定規・分度器・コンパスなどの器具を用いて、物体を点や線による幾何学的図形で表現する技法。土木・建築・機械などの設計に応用。幾何画法。←→自在画

てんぐじょう【天具帖・典具帖】(本書の中では「典具帳」)楮の優良な繊維で製したきわめて薄い和紙。室は柔軟で強く、色は白く美しい。貴重品の包装、美術的印刷物の隔紙(へだてがみ)、ガラスの内貼、表装の裏打ちなどに用いる。美濃・土佐の特産。

ははあ。前者は文脈から、数学の図形や技術家庭の製図を想像していたので、当たらずとも遠からずか。後者はてっきり帳面か見本帳だと思っていた。えらい勘違い。ことば2個分だけかしこくなりました。

以下引用。

古本屋で一、二冊本を買うと、必ず店の名の入った紙に包んで輪ゴムをかけてくれた。それを家まで持ち帰ってあける場合は別として、途中の電車の中などで早く読みたくなった時には、その輪は手首に移されることが多い。それを読み進んだ頁と表紙を一緒にして再びかければ、栞代わりにもなる。
だが古本を買った時に、その紙包みを手に持って歩きながら、指先でつまんでは離してパチンパチンと音を立てる。それは無意識に、欲しいと思っていた本を安く手に入れた自分の悦びの表現でもあった。(p67-68「輪ゴム」より)

短剣を象ったペーパー・ナイフを持っていたことがあるが、うっかり落とした時に床板にささった。それ以来、このペーパー・ナイフを所有していると、何か悪いことが起こりそうで、勿体ないとは思ったが処分してしまった。二つか三つに折って、大袈裟のようだが、北海道へ旅に出た際に携えて行って、ある湖を船で渡る時に、湖底へ沈めてしまった。
その翌日、列車の乗換えの時間がたっぷり出来たので、駅を出てコーヒー屋へ入り、椅子に腰掛けてふと横を見ると、全く同じペーパー・ナイフが壁に飾ってあって、どきっとしたことがある。(p150「ペーパー・ナイフ」より)

写真、大阪港の赤レンガ倉庫。ヒマラヤスギの擬態をするツタ。
by konohana-bunko | 2007-05-18 21:48 | 読書雑感 | Comments(0)

『汝窯』  玉城徹

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日本の古本屋にて購入。葛原妙子の『雁之食』と同じ、短歌新聞社の現代歌人叢書シリーズ。但しこれはビニールカバー欠。状態はあまりよくなかったが、玉城徹にしてはお手頃な値段だったのでうれしかった。
以下引用。

夕かぜのさむきひびきにおもふかな伊万里の皿の藍いろの人  玉城徹

もも長に樹皮をかぶりて佇ちをれば芽ぶきし肩に羽ぶく鳥かげ

とほき世の琵琶のおもての山たにに遊べる象はまなこ清(さや)けし

いづこにも貧しき路がよこたはり神の遊びのごとく白梅

ゑんどうの素枯れひそけく風とほりもてあつかひぬ酢牡蠣一つを

ふる雨のとどろく夜を歩み来て梯子明るくかかれるを見つ

山ふかく大しらびそはみどり濃き樹とこそたてれ天つ日のひかり

  *

短歌新聞2007年5月号「子規を聴く10 玉城徹」より、一部を抜粋して引く。

・吉原の太鼓聞こえて更くる夜にひとり俳句を分類すわれは

江戸時代の末に橘曙覧が「独楽吟」というのを作って、一首の頭に「楽しみは」という句を置く歌を沢山並べたことがある。それを読むと、曙覧の趣味だとか、気質だとかが、大体見当がつくのである。
子規の「われは」は、これを参考にしたのかも知れない。ただ曙覧の場合、惜しむらくは、「楽しみは」というので、最初に種明かしが出てしまった感じを否めないのである。子規は、それが、あきらたなかったであろう。
(―中略―)
実は、何ヶ月か前、子規は、

・世の人は四国猿とぞ笑ふなる四国の猿の子猿ぞわれは

という一首を作って、書きとめたのであった。それを、わざわざ見せ消ちにして、この一連の第八首目に活かしてある。
それはどういう意味であろう。それは、この「われは」という形によって、「自画像」を描こうという、明確な「芸術意欲」の下に、この一連八首を作ったということを意味するのではないか。
この意味で、子規の歌は、「近代的」だと言うことが出来よう。それに対して、曙覧の歌は、いかにも、淡白で趣味的に過ぎるのである。言うまでもなく、それには、その善さがあることは否定できない。ただ、子規には、何だか、それでは物足りない感じがしたろうと思う。

引用終わり。
今かかっている用事を5月の末で片付けたら、また橘曙覧を読んでみよう。
by konohana-bunko | 2007-05-17 22:12 | 読書雑感 | Comments(2)

中之島まつり

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そう、5日(土)の日には古本屋だけではなくて中之島まつりにも行ったのだった。折角心斎橋まで出てきたのだから、中之島公園でバラの写真でも撮りたいなと思って淀屋橋に行ったら、えらくたくさん人が出ていて、そこではじめて中之島まつりだと気付いたというわけ。
店は出ているわ、人は多いわ、山車囃(なぜか長野県の。どういう関係で?)の鐘太鼓はやかましいわで、とてもバラを楽しむという雰囲気ではなかった。東洋陶磁美術館も見たいので、またあらためて出直すことにする。
市役所の前でペルーの人が弾いていたアルプ(ハープに似た楽器)の音がよかった。

写真下、公会堂の前にて。人力で回転させる遊具。小さい子たち結構よろこんでました。
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by konohana-bunko | 2007-05-13 21:19 | 日乗 | Comments(2)

苺を買う

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仕事の帰り、駅前の露天商で苺を買う。お店の人は袋をくれなかったので、むきだしの苺のパックのまま、てのひらに載せるようにして、駅まで歩いた。
電車はそこそこ空いていた。席に座って膝の上に苺を載せた。
向かいの席に女の人が三人座っている。何か、にぎやかに喋っているなと思ったら、苺の話をしているのだった。
「わたしあんまり、イチゴ好きやないネン」
「わたしもあんまり好きやないワ」
そんな話。そうかあ。そうなんや。わたしは苺、好っきやけどね。いちいち言わんけど。膝の上から、ほんの少しだけ、苺の匂いがする。
隣の席には小柄なお爺さんが座っていた。お爺さんは文庫本を読んでいたが、本から目を上げて、
「おいしそうやなァ」と声を掛けてきた。
「そうですね」
お爺さんは、甘いかなあ、いや、ちょっと酸っぱいかなあ、と、ひとりごとのように小さい声で言っている。こちらのお爺さんはものすごく苺が好きなのだろうか?つい、顔を見たら、お爺さんと目が合った。
「うち、孫がナ、1歳半ですねんけどな、もう歯ァがこう、みんな生えてきて」
「ああ、そうですか」
「苺食べさしたったら、どんな顔するやろなと思て。顔、見てみたいなァ」
お爺さんは文庫本を上着のポケットにしまいながらにこにこした。そして、次の駅で降りていった。
by konohana-bunko | 2007-05-12 22:30 | 日乗 | Comments(3)

催しのご案内

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短歌関係の催しのご案内です。

  ◇

神變忌シンポジウム「塚本邦雄を論ずる」

早いもので、歌人塚本邦雄が他界してもう二年が経過いたします。
墓所は京都市上京区の妙蓮寺にありますが、昨年、福島泰樹氏の御厚意により、氏が住職を務められる法昌寺(台東区下谷2-10-6)へ分骨が行われました。
この度、加藤治郎氏、坂井修一氏、藤原龍一郎氏の三氏をゲストにお迎えし、
6月9日神變忌に「塚本邦雄を論ずる」シンポジウムを開催いたします。
お忙しいこととは存じますが、是非お立ち寄り下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。


神變忌シンポジウム「塚本邦雄を論ずる」
日時 '07年 6月 9日(土) 13:00受付開始13:30開演17:00終了
内容 加藤治郎、坂井修一、藤原龍一郎の三氏による鼎談、他
会場 台東区 生涯学習センタ- 301研修室( 定員100名 )
    台東区西浅草3-25-16  電話03-5246-5827
地図 http://www.taitocity.net/center/map/tizu.html
会費 1500円    
申込〆切 5月20日  
※ 収容人員に限りがありますので、定員になり次第申し込みが打ち切られます。
※ シンポジウム終了後、会場を移して懇親会(会費5000円)を行います。
   懇親会参加御希望の方はお申し込み時にその旨御記入下さい。

(上記、一部正字を略字体にて代用させて頂いております。)

  ◇

2007年度 「日月」夏の会 特別講演

講師 玉村豊男
演題 「ライフアート」という考え方
日程 2007年6月30日(土) 午後4時開場/午後4時半開演
場所 新横浜フジビューホテル 本館3階 「竹の間」
聴講料 1,500円 (当日受付にて)
申込〆切 6月24日(日) ※必ず事前にお申し込み下さい

  ◇

どちらも、お問い合わせはこのはな文庫まで。(画面左列の「お問い合わせ」よりどうぞ。)
by konohana-bunko | 2007-05-10 20:38 | 日乗 | Comments(0)

黄金週間

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4月末に罹った風邪がだんだん癒えてきた。
近いブ、遠いブ、天地書房ハイハイなどに本を買いに行く。
かなぶん古本市から帰って来た本と合わせて、
机の上から床の上まで、
わたしは本に包囲されている。
出品するしかない。
写真を撮る。
ついでに猫の写真も撮る。

うーん、手ブレだ。
by konohana-bunko | 2007-05-06 21:21 | 日乗 | Comments(0)

読書の記録 卯月

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『木に縁りて魚を求めよ』  林和清 (歌集)
『春灯雑記』  司馬遼太郎
『幕末』  司馬遼太郎
「Fishing Cafe」  シマノ
『小さなこだま』  岡部伊都子
『こんとあき』  林明子
『天の腕』  棚木恒寿(歌集)
『ミジンコ道楽 その哲学と実践』  坂田明
『自分で作る小さな本』  田中淑恵
『汝窯』  玉城徹(歌集)
『Photo essay 水の記憶』 薗部澄
『サザエさんうちあけ話』  長谷川町子

ようやく復調、12冊。
「読めない時の司馬遼太郎頼み」とか言わないようにそこの人!
正選『汝窯』、『ミジンコ道楽』、逆選なし。
by konohana-bunko | 2007-05-03 22:29 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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