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目に見えない押し葉

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日曜日、所属結社の歌会へ。歌会で、歌に対する批評をする時、今でも迷う。「てにをは」にこだわり、一語一語に即した読みに基づいて批評をしなければ意味がないという思いと、表現の上ではぎこちなかったりわからなかったりする面はさておき、作り手が何とか伝えたいと精一杯差し出している詩情を汲みとりたいという思いの間で。たぶんこれからもずっと、時計の振り子みたいに揺れながら、しどろもどろのコメントしゃべるんやろなぁ。
帰り道で見た月がきれいだった。



本を読んでも、読んだそばから、何が書いてあったかどんどん忘れる。でも不思議と、その本をもう一度手に取ってぱらぱらしたら、(ああせやったせやった)と、思い出すことどもがある。それは本の内容ではなくて、その本を読んでいた日々のこと、暑っついのに仕事行ってたなーとか、あんなことがあってちょっと腹立ててたなァとか、そういう些細な気持ちの凹凸みたいなものが甦ってくるのだ。本の喉には、読んだ人の記憶が挟まっているのかもしれない。目に見えない押し葉みたいに。

小池昌代詩集『永遠に来ないバス』(思潮社)を読む。

《禁帯出の薄い本をかかえて
草のなかを逃げきる
夏の弟》

(「夏の弟」冒頭部分)

ここのフレーズ、いいなと思う。これを短歌で表現したらどうなるんだろう。寺山修司みたいかな。

写真、神農祭にて。
by konohana-bunko | 2007-11-27 22:41 | 日乗 | Comments(5)

福紙

今年もジョウビタキが飛んで来た。頭が灰色なのは、オス。ヒ、ヒ、ヒ、と鳴きながらハナミズキの実を食べる。
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この間やっと読み了えた塚本邦雄『味覚歳時記 木の実・草の実篇』(角川選書)、お、福紙が!
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by konohana-bunko | 2007-11-22 22:57 | 日乗 | Comments(2)

落ち葉

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ここしばらくカメラを持ち歩かないうちに欅がみんな落ち葉になってしまった。欅は一本一本色が違う、おやと思うくらい紅い木もあれば、あざやかな黄色の木もある。雨が止んだ後、地面が黒く濡れているところへ、欅の落ち葉がたくさん散り敷いているところはうつくしい。雨の後に散るのがいい。雨の日に散った上を、人がたくさん歩くと、汚れて、葉がつぶれて、あまりきれいではない。乾いても、埃じみてよくない。でもそれを掃き寄せて、山のように積み上げたところはすてき。



玉城徹の評論『近世歌人の思想』を読む。今、3分の1くらい。年に1回くらい、むずかしい本読みたい時が、あんねん。ほんま、年に1回だけやけど。



武田百合子『遊覧日記』より、本棚にしまう前に抜き書き。

《子供の自分、キンカクシの上にのって便所の窓から覗くと(多分春から秋にかけてだ)、十文字の青白い花をつけた毒だみやりゅうのひげや笹の生えている日蔭の土手腹を、右(北)から左(南)へ青黒い模様の太い蛇が、遠くの何かにひっぱられているかのように、ゆっくりとおとなしやかに移動して行くのを見ることがあった。家の主(ぬし)だから、そっとしておいてやらなくちゃいけない、と年寄りに言いきかされていたから、息をつめて、尾が消えるまで見送った。そういう日は寝るまで頭の中や眼がどきどきしていて、いつもより宿題なんかもはかどった。》(p93「藪塚ヘビセンター」より)
by konohana-bunko | 2007-11-20 23:16 | 日乗 | Comments(0)

小さい古本屋の、ささやかな蔵書 hondana

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うちの本棚、18マス分の2。この2区画は「お気に入りの本=売らない本」の場所なので、この本棚を使い始めてから、ほとんど中身が入れ替わっていない。普段はこの上の段の文庫本の前に、アニエスベアー一家が座っている。

アニエスベアー一家の歴史はこちら
其の一
其の二
其の三
by konohana-bunko | 2007-11-14 22:23 | 古本屋さん開業記 | Comments(7)

にわにゃんこ。

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カメラを向けると =ーェー= 目をつぶり、カメラをしまうと =・ェ・= お目々ぱっちり、を3回繰り返した庭猫。高畑町にて。
by konohana-bunko | 2007-11-13 21:10 | 猫是好日 | Comments(0)

『幼な子の歌 タゴール詩集』

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高校の頃は詩も読んでいた。中原中也と、立原道造が好きだった。それ以後あまり読まなくなった。ここ数年でかろうじて読んだのは、西脇順三郎、安西冬衛、荒川洋治くらい。あ、辻征夫、宮澤賢治もあるか。
現代詩が、わからないのだ。どこをどう味わえばいいのか?一連の中に、数行、(あ、ええナ)とこころ魅かれる部分は見つけられるけれど、詩はその前にも何行もあり、そしてそのいいところを通り過ぎてまだ(場合によっては)何十行も続いてしまう。で、往々にして、よくわからないまま唐突に終わる。本当はちゃんをワケあってそこで終わっているんだろうけれど、そのワケが、うまく読み取れない。短歌俳句のように、リズムで気持ちよくなるというわけにもいかない。
あまり読まないからわからないのか。もっと読めばいいのか?



『幼な子の歌』には、作者のこども時代のことを書いた詩、母と子の情愛について歌った詩が収められている。
以下引用。

《(頭略)

世の悲しみを知らない 稚(いとけな)い笑顔の幼な子たちが
  笑いながらあなたがたの戸口にやってくる
初々しい目をあげて 戯れ揺れながら
  四方(よも)を見ている
黄金(きん)色の太陽の光や お母さんの顔が
  どんなに心地よいことでしょう
この地上に 知らないうちにきていました
  埃を埃とも知らず すべてが彼らの宝物です
この子らを膝に抱きあげてください――泣いて帰らせないように
  喜びの中に悲しみを起こさせないように
胸の真ん中に置いて 充ちあふれた心で
  この子らに祝福をお与えください(後略)》(p209-212 「祝福」)

《  坊やはお母さんに尋ねます
  「ぼくはどこからきたの?
どこでぼくを拾ったの?」
  お母さんはそれを聞いて坊やを胸に抱きしめ
  大笑いして言います――
あなたは私の心のひそかな願いだったのです

  私の幼い日の人形遊びの中にいました
  朝 シヴァ神へのお祈りの時も
あなたはわたしとともにいました
  あなたは私の神さまと一緒に
  お祈りの玉座にいたのです
神さまへの祈りはあなたへの祈りでした
  私の永遠の希望と
  すべての愛の中に
私のお母さんとおばあさんの生命の中に――

(中略)

  いくらあなたを見つめても
  みんなのものだったあなたが
どうして私のものになったのかその謎は解けません
  あの人とこの人が出会い
  あなたはお母さんの坊やになり
愛らしく笑ってこの世に現われた(後略)》(p121-123 「誕生の話」)

「あなたは私の心のひそかな願いだったのです」という一行に、胸をつかれる。そう、今頃になって。こどもはとっくに自分よりデカくなって、取り返しがつかないあれこれだけが、買ったまま読んでいない本のように手許に残ってゆく。
by konohana-bunko | 2007-11-11 21:34 | 読書雑感 | Comments(3)

歌を聴いて、鼻の奥が痛くなる

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10月後半からこちら、何とはなしにあわただしく日が過ぎる。本も、それなりに、買ったり、読んだりしている。写真もぼちぼち。ここに、いくらでも書けばいいのに、ねえ。
まあ、ぼちぼちと。また。

めずらしく、2枚続けてCDを買う。ひとつはSOTTE BOSSEの”MOMENT”。IPodに入れて、洗濯物を干しながら「マンダリンパスタ」を聴いていたら、不覚にも鼻の奥が痛くなった。
で、今日、槇原敬之の「悲しみなんて何の役にも立たないと思っていた。」を買って、聴く。ここ数年、理屈っぽい歌が多かったのだけれど、今回のはよかった。ほんまによかった。「GREEN DAYS」を聴いて、またしても鼻の奥が痛くなる。何てこの人らしい歌。
何かもう、涙腺がゆるくなっている。
「悲しみなんて―」ジャケット、もっす昭和。坂本九みたい。

写真、朝の東の空。
by konohana-bunko | 2007-11-08 22:48 | 日乗 | Comments(2)

ブックカバー展 ~旅へ~ at カフェ南果

神無月尽、納品を兼ねて、はじめてカフェ南果へ。古い民家を生かした、ほっこりしたお店。手すりのない、板でできた階段がとてもなつかしい。祖母の家にこんな階段があった。
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ブックカバー展のようす。(11/12まで)
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むぎゅーかわいらしすぎる。
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今回のブックカバー展には、「ぼちぼち堂」さんと「このはな文庫」の古本も参加いたしております。ぼちぼち堂さん、初めての古本販売だそうですが、本好きのこころをそそる品揃えで、すてきな棚でした。うちからは「暮しの手帖」100円均一など、です。
秋の大和路、お散歩がてらにぜひ、お運び下さい。
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ブックカバー展〜旅へ〜 at カフェ南果
お気に入りの本とブックカバーで旅にでませんか?

テーマ「食と旅」
10/31(水)〜11/12(月)

南果-nanka-
奈良市高畑町1331ー2
TEL&FAX: 0742(24)7466
OPEN 11:00-18:00
火曜定休 臨時休業有り

アクセス方法・・・ 近鉄奈良駅より奈良交通バス 市内循環・中循環
           『破石町』下車徒歩7分
by konohana-bunko | 2007-11-02 21:49 | 日乗 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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