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読書の記録 皐月

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『詩の話をしよう』  辻征夫・山本かずこ  ミッドナイト・プレス
『夢をかなえるゾウ』  水野敬也  飛鳥新社
『曳舟』(歌集)  吉川宏志  短歌研究社
『石榴が二つ』  玉城徹  短歌新聞社
『芭蕉の狂』  玉城徹  角川選書186
『アイデア・ダンプ』  中山マコト  中経出版
『婚とふろしき』(歌集)  池田はるみ  角川書店
『書百話』  榊莫山  ハルキ文庫
『色々な色』  近江源太郎著  ネイチャー・プロ編集室構成・文  光琳出版社
『開高健の前略対談』  開高健ほか  面白半分
『人間の集団について ベトナムから考える』  司馬遼太郎  中公文庫
『サバンナの記録』  梅棹忠夫  朝日選書54

正選『サバンナの記録』と、司馬遼太郎。司馬さんは何がよかったって、中身はあたりまえ、50円だったのがうれしかった。逆選と言うより「面白く読めたけれど理解が及ばなかった」のは『芭蕉の狂』。また何年かしたら、読み返すことにする。

今月は何か「読んだなー」と堪能した気分になった。気になった本については、後日あらためて。
by konohana-bunko | 2008-05-31 22:32 | 読書雑感 | Comments(0)

本三題

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2006年に出た『曳舟』を、今頃読む。

夜の更けの子供の部屋に入りゆきし足は踏みたり人形の肉

ほそき陽の差しこんでいてなにかしら秋は箪笥がなつかしきとき

抽斗の古(ふる)消しゴムを割りたれば中は白かりずいずい消える

銭湯の裏にまわれば春風にうまく立てない葱ぼうずあり

花籠に月を入れて と古(いにしえ)の女うたえり女とは声  *閑吟集

雷雲の近づいてくる夜の部屋にセロテープ切る銀のぎざぎざ

(歌集『曳舟』 吉川宏志著 短歌研究社 より)

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オークションで古本を1冊、お買い上げいただく。買って下さったお客様と、その本の著者のお名前が、同じ。メールを最後まで読むと、「自分の著書なのですが、絶版になりまして……」とのコメントが。著者の方にお買い上げいただいたのは、はじめて。ちょっと、うれしい。

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心斎橋のブで買った『巻頭随筆』を、ぱらぱら読む。文藝春秋の巻頭エッセイを100篇まとめたもの。串田孫一のエッセイの冒頭は、こんなの。

「拾得物」  1971・12 串田孫一

駒形で「どぜう」を食べ、浅草へ来て電気ブランを飲んだことがあった。ずっと昔のことである。

(『巻頭随筆』 文藝春秋編 文春文庫 より)

ぬわー孫さま何といなせな。
by konohana-bunko | 2008-05-29 22:43 | 日乗 | Comments(2)

二十一世紀そうか猫にも

二十一世紀そうか猫にも さしあたり精出しておまえの蚤を取らねば  千々和久幸(『人間ラララ』)
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ちょんぴ「んんん……」
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バッタリ
by konohana-bunko | 2008-05-25 21:10 | 猫是好日 | Comments(0)

ひみつのマグロ

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小笠原日記」の文体を拝借すれば、今日はひみつ関係のひみつのイベントに参加しひみつだったりおおっぴらだったりする老若男女のみなさんとたち混じりつつ普段はあまりお目にかからないいろんなものを食したのであった。
by konohana-bunko | 2008-05-25 20:23 | 日乗 | Comments(0)

愉快なクリム ―朝鮮民画

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大阪の東洋陶磁美術館に、お気に入りの壺がある。朝鮮のもので、大きな白い壺のぐるりに、鉄色で虎が描かれている。いっこも虎らしくない、猫みたいな虎。もうひとつ白い壺がある。これには藍色で、獺みたいな虎が描かれている。同じような手で魚や鳥の絵の壺や皿もある。巧みじゃないのに妙にいきいきしている、この手の「えいやッと描いちゃいました」的な絵は一体何なんだろう?と、見るたびに思っていた。

今回の展覧会ではじめて「民画」ということばを知った。庶民の日常の生活空間を飾るための絵。館報によると《これらの絵の多くは名もない絵師が村から村へと移っては生活に必要な絵を描き残し、古くなって破れたものを描き直しては立ち去ったものといわれる。絵の特徴は落款がなく、愉快な雰囲気を保ちながら、大胆不敵な構図で描かれることが多く、宮廷画員の描いた才知に富む絵とは同次元で考えることのできない奔放な作風》である、という。
また、鵲虎図(じゃっこず)という伝統的な図案(虎+カササギ+松の木)には、魔よけと招福の意味があるということもわかった。なるほど、件の壺に描かれていた虎というのは、邪をよけて家が栄えるおめでたい柄だったわけだ。

そういう知識も得られてよかったけれど、何より絵そのものが楽しかった。どう見ても猫っぽい、ケンカしたら強いのんか弱いのんかようわからん豹柄の虎とか。親切そうに顔を寄せている割には目つきの悪いカササギとか。折り紙を谷折りにしたみたいに下半身にひねりが入っている魚とか。どんな人が、どんな顔をしてこの絵を描いてたんやろね。絵だけで食べていけとったんやろか。ものすご上手でなくても(あいつの絵は験がええ)なんて噂があったら、注文のお声が掛かったりも、したんかなあ。あんまりのびのびとした絵なものだから、ノートに真似して落書きしたくなった。
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高麗美術館はこぢんまりしているけれど、隅々まで気持ちのいい空間だった。庭に、おがたまの花が咲いていた。果物のような匂いがした。
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さっき思い出して金井美恵子の『切りぬき美術館 スクラップ・ギャラリー』(平凡社)を引っ張りだしたら、ちゃんと李朝民画の章が二つ、あった。「トラの魅力は全身を見事に覆う〈縞性〉にある」なんて書いてあって、トラも猫もやっぱり縞やんナ、と、ここは一も二もなく加担してしまうのであった。
by konohana-bunko | 2008-05-20 21:42 | 日乗 | Comments(2)

葵祭を車窓から

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よいお天気、ひょっこり時間ができたので、思い切って高麗美術館へ。

高麗美術館 「愉快なクリム ―朝鮮民画」(5月25日まで)

(高麗美術館についてはのちほどあらためて書きます。)

帰り、出町柳に戻る市バスに乗る。大きな交差点の手前で、対向車線を向こうから見慣れないものが近づいてくるのに気付く。
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葵祭の行列!
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斎王代さんと最接近。
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牛車の車輪の大きいこと。
思いがけないすれ違いで、どきどきした。
by konohana-bunko | 2008-05-15 22:11 | 日乗 | Comments(3)

曇天の花 唐招提寺

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過日。薬師寺のあと、唐招提寺へ。金堂の大修理工事、足場の解体中で、重機のうなり、金属音のひびく中の吟行。そんな中でも、境内を歩いていると、だんだん音を忘れて、目が和みはじめる。菖蒲の紫。楓若葉。築地塀沿いの羊歯や石蕗。それに、苔の上に散った竹の葉だとか。なかなか、すぐに句にはならないけれど。
うれしかったのは、「瓊花」と出会えたこと。鑑真和上のふるさと、揚州から請来した花との由。八つの大きな花が、小さな花を囲んで咲く。
淡い匂いがした。

花も人も、一期一会かもしれない。



宿題   辻征夫

すぐにしなければいけなかったのに
あそびほうけてときだけがこんなにたってしまった
いまならたやすくできてあしたのあさには
はいできましたとさしだすことができるのに
せんせいはせんねんとしおいてなくなってしまわれて
もうわたくしのしゅくだいをみてはくださらない
わかきひに ただいちど
あそんでいるわたくしのあたまにてをおいて
げんきがいいなとほほえんでくださったばっかりに
わたくしはいっしょうをゆめのようにすごしてしまった

(『詩の話をしよう』 辻征夫著/聞き手 山本かずこ ミッドナイト・プレス 2003 より)
by konohana-bunko | 2008-05-14 21:50 | Comments(2)

曇天の花 薬師寺

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最近うれしかったこと。天地さんの均一台で『SHAKESPEARE BIRTHDAY BOOK』を見つけたこと。365日の1日毎に、シェイクスピアの文章(それも、かなりシニカルな傾向のもの)が割り振られている。奥付に「新潮世界文学発売記念 非売品」とある。編者は福田恆存。

写真は薬師寺で咲いていたオオヤマレンゲ。タイザンボクを小さいお姫様にしたような、おとなしげな花。薬師寺の日光月光菩薩は東京の博物館に出張中とあって、本尊薬師如来の両脇には実物大の画像の幕が飾られていた。
by konohana-bunko | 2008-05-12 22:14 | 日乗 | Comments(3)

天馬と松浦屏風

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連休中の或る日、思い立って電車で出掛ける。近鉄学園前駅から、大和文華館へ。

大和文華館所蔵 松浦屏風と桃山・江戸の人物表現 ―女性表現を中心に―(5月18日まで)

大和文華館は里山のてっぺんにある小さい美術館。大きなアカマツの木をはじめ、雑木が茂っている山の中を、とろとろと上っていく。道なりに山野草や花木をたくさん植えて、季節の花が楽しめるようになっている。この日の花はちょうど端境期で、ツツジが目に付く程度。アジサイやフヨウの季節になればいい景色だろうと思う。
面白いのは、展示室。展示室の真ん中に、ガラス張りの小さい竹林がしつらえてある。孟宗竹、筍が何本かでていた。

展示で印象に残ったもの。
「伝俵屋宗達筆 伊勢物語図色紙 六段 芥川」業平が高子を背負って逃げるところ。絵の具がぽってりぽってりした感じ。逃避行なのに、何となく、のどか。
「阿国歌舞伎草紙」 阿国が踊る舞台に張られている幕が、ぐるぐるつむじ風の総柄なのがとても気になる。
「英一蝶筆 僧正遍昭落馬図」 遍昭が馬に振り落とされて背中を丸め足を天に向けてひっくり返っている。馬は首を振り振り、勝手に歩いていく感じ。遍昭が押しひしいでいる秋草など、露の冷たさが宿っているようで、妙に風情がいい。真面目な絵なのかふざけているのか、よくわからない。
「婦女遊楽図屏風」は、江戸時代のVOGUE Nippon。 うさぎの絞り柄の着物がすてきだった。

学園前駅から、奈良駅へ。次は国立奈良博物館。

特別展 天馬 シルクロードを翔ける夢の馬(6月1日まで)

MIHO MUSEUMからの出展品もあると聞いて楽しみにしていた。印象に残ったのは、中国の銅の鋳物の大きな馬。首をひねって後ろを振り返るような格好。それから、ポスターのデザインにも使われている、ギリシャの大理石の柱飾りの彫刻。でも一番気に入ったのは、「加彩騎乗俑 唐 8世紀」(天理参考館所蔵)。両手に載るくらいの小ぶりな陶俑。冠をかぶり、腰に小さなポシェットをつけた文官が、鞍に片手をかけて今まさに馬にまたがろうとしているところ。あれ、いいなあ。欲しいなあ。陶俑、好きなんだ。

つくられた馬を馬らしく見せている要素は何だろう、と、絵や像を思い出しながら考える。骨格。筋肉。鬣や尾は、長くても短くても案外気にならない。一番特徴があらわれるのは、顔。それも、顔面に浮き出る血管。あと、口を開けてむき出す歯。日頃見慣れた鹿と比べると、馬は随分猛々しい感じがする。



帰り道、博物館の近くのカエデの木、幹に開いた「うろ」から、シジュウカラがびゅっと飛びたつのを目撃する。鹿も人もぞろぞろ歩いている場所で、「うろ」といったって、わたしの腰くらいの高さのところ。(こんな人通りの多い、目に付くところに巣?!)見間違いかと思って、しばらく観察していたが、5分くらいの間に3回、出たり入ったり、した。出る時、白い塊を口にくわえて飛び出していったから、もう雛がかえっていたのかもしれない。何だかそっとしておきたくなって、写真は撮らなかった。

写真は薬師寺、玄奘三蔵院の中庭。
by konohana-bunko | 2008-05-10 22:40 | 日乗 | Comments(1)

ドラキュラみたいに

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電車で乗り合わせた、男子高校生4人組。床の上に鞄を投げ出し、足を伸ばして大声で話をしている。聞かないでおこうと思っても、話が勝手に耳に入ってくる。
「あんなー、セーラー服てあるやん」
「セーラー服ってどんなん」
セーラー服を知らない高校生がいるのか。
「セーラー服いうたらやナ、こうなって、こうなって」
聞かれた方が、指で胸の前に三角の襟の形を示して説明している。ははあ、このあと、背中に四角い襟があって、胸元にリボンなんかがあって……と話が続くものだと思っていたら、
「こうやって襟を立てたら、ドラキュラみたいになる服やんけ!」
予想のはるか頭上を超えてゆく説明におどろく。
by konohana-bunko | 2008-05-09 20:49 | 日乗 | Comments(2)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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