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もう一度

ちょんぴ。ちょんぴは今どうしていますか。魂というものがあるのか、あれば生まれ変わるのか、母ちゃんはあるんやないかと思っていますが、本当のことはわかりません。もし天国というところがあるのなら、それはこの世とよく似た場所なのではと思ったりします。ちょんぴが最後に散歩に出掛けた日みたいに、いいお天気で、鳥が鳴いているような時は、特に。

ちょんぴがおらんようになって母ちゃんはたいへん寂しいです。今でも時々泣きます。パパや兄ちゃんたちは、泣いてはしませんが同じ気持ちだと思います。

ちょんぴ、母ちゃんはもう一度猫を飼おうと思います。ちょんぴは母ちゃんが生まれて初めて飼うた猫でした。猫と生きることはこんなにしあわせなことなんやと、母ちゃんはちょんぴに教えてもらいました。老いて死ぬということは立派なことやということも教えてもらいました。また猫を飼って、精一杯かわいがってやろうと思います。それは、母ちゃんが生きている間しかできないことだから。



チビが来たよ。しましまぐるぐるの女の子やで。上から見たら、イラガの繭が落ちてるみたい。子猫って、こんなに小さかってんナ。
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どうか、この子を見守ってやって下さい。
by konohana-bunko | 2008-11-28 13:52 | 猫是好日 | Comments(5)

えーッ、それはない

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部屋の床の上に本の山がある。いくつかの本の山が合体して島になっている。本棚に本は当たり前、本棚の前に本、テーブルの上に本、トイレに本、玄関に本。そんな家の中に、古本屋さんが二人入って来た。どちらも若い男の人で、前掛けなんかしている。二人はわたしの目の前で、散らかった本の整理をはじめた。非常にきびきびと、息の合った動きで、本はあっという間に片付いてしまった。きれいになった部屋で茫然としていたら、二人のうちの一人が振り向いて
「全部で二万円です」
と、笑顔で言う。えーッ、それはない!それは絶ッ対にない!!と叫んだところで目が覚めた。新手の、悪夢だ……。
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by konohana-bunko | 2008-11-27 14:29 | 日乗 | Comments(4)

落ち葉隠れの術

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山の斜面で日を浴びて。
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「ウチがどこに居るか、わからへんやろ?」
by konohana-bunko | 2008-11-25 21:27 | 猫是好日 | Comments(0)

花屋にて

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夕方、花屋に行く。猫がいつも出入りしていた狭い庭が、少しでもにぎやかになるように、花を植えようと思ったのだった。
花屋には季節柄、冬から春の花の苗がいろいろ出ている。風で、花や葉がちりちり震えている。
紫のビオラの苗を三つ選んで、レジまで運ぶ。ガラス戸を開けて店の入ると、中には三人の人がいた。レジの前に、客が二人、カウンターの奥にお店の女の子。
お客のひとりは中年の小柄な女の人で、もう一人は初老の男の人だった。男の人は野球帽をかぶり、ジャンパーにスニーカー姿、ちょっと山歩きでもしそうな雰囲気に見える。小さい店で、そこへわたしが入ったものだから、ますます狭く、互いに半身にならなければ身動きができない。
女の人はここのなじみの客なのだろう。切り花を物色している男性に、
「男の人がお花買いに来はんのめずらしいねえ」と、声を掛けた。そして店員さんに向けて
「ねえ、男の人そんな花買いに来はらへんもんねえ」と同意を求めた。
山歩き氏はちょっと笑っただけ。店員は「そうですねー、すてきですよね。よく来て下さるんですよ」と答える。
山歩き氏はカサブランカとピンクッションを2本ずつ選び「これを」とカウンターに差し出す。女の子は紙を広げて花を包みはじめた。
「プレゼントにしはんの?」小母さんは興味津津である。
「いやいや。仏さんの花」と山歩き氏。
「いやァ」小母さんはさっきより色めきたちつつ、声を絞ってこんなことを言い出す。「ひょっとして、こんなん訊いたら悪いけど、亡くなりはったん、奥さん?」
傍で聞いているわたしの方がぎょっとした。何て不躾なことを尋ねるのだろう。山歩き氏は一瞬、質問の意味がわからなかったようだが、すぐ真面目な声で
「ちゃうちゃう、普通の仏さん」と首を横に振った。
「はあ、そうですか」小母さんは山歩き氏への興味を急速に失ったようだった。そして、カウンターに肘をついたまま、半分節をつけるような声で「こらまた、えらい失礼なことを言いまして」と付け足した。ちょっと体裁を取り繕おうとしているようにも聞こえた。
山歩き氏が退出して、わたしが勘定を払う番になっても、小母さんはまだ店の女の子に話しかけていた。女の子はわたしにではなく、小母さんに愛想よく相槌を打ちながら、花の苗をビニール袋に入れた。2つは手際よく収まり、3つ目を入れようとして手に取り損ねた。カウンターから落ちた苗は真っ逆さまに床に落ち、花も茎もぺっしゃんこに潰れてしまった。店の子は真っ赤になって謝り、代りの苗を入れてくれた。花が落ちた時、小母さんはやはり色めきたって「いやァ」と声をあげたのだった。
あの落ちた苗はどうなるんだろう、育て直したらまた売れるのだろうか、それともあっさり捨てるのだろうか。ガラス戸に手をかけた時、ちょっと気になった。だからといって、「その落ちたのでいいからもらいます」ともよう言わなかった。店の中にこもった植物の匂いが鼻について、少しむかむかした。

外はもう日が翳って、空気が冷たかった。苗を入れたビニール袋が、風でぱさぱさと鳴った。もっと強く風が吹けばいいのにと思った。
by konohana-bunko | 2008-11-21 23:08 | 日乗 | Comments(2)

横倒しのオリオン

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こころが痺れている。

息子から、「猫がもう――」という電話をもらった時、ついにこの時が来たのかと思った。それと同時に、千分の一ほど「ほっとした」とでもいうような気持ちになった。もうこれ以上、猫が痛い思いや苦しい思いもしなくていい、そういう意味で。
このように猫との別れを受け止めることができたことを、しあわせに思う。猫が時間をくれたからだ。わたしたちに寄り添い、花がだんだん枯れてゆくように、ゆっくり衰えていってくれたから。

それにしても、がっくりと力が抜けた。猫がいなくなることが、こんなに悲しいとは思わなかった。

夕方から寒気が入ってきて、急に寒くなった。夜、洗濯物を干そうとベランダに出たら、空は磨いだように真っ暗で、東の低いところに横倒しのオリオンがきらきら光っているのが見えた。窓を開けたままにしていたら、猫が大きな声で鳴きながら帰って来そうな気がした。
by konohana-bunko | 2008-11-18 22:37 | 猫是好日 | Comments(5)

短歌新聞 新人立論645 「曙覧の歌」 十谷あとり

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短歌新聞11月10日号の新人立論に「曙覧の歌」と題して拙稿が掲載されております。ご笑覧いただければ、うれしく。

内容は題名通り、自分が橘曙覧の歌を読むに至った経緯となっています。

顔写真の目付きがアヤしい。われながら。
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by konohana-bunko | 2008-11-18 20:46 | 日乗 | Comments(0)

ちょんぴ

猫ちょんぴ、5日(水)に点滴を受けるも、その後は思うほど食欲回復せず。チューブ入りゼリーを日に何度か舐めるのみ。眠るでもない、起きているでもない、半目でうつらうつらしている時間が長くなる。
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11日(火)、仕事の帰りにデパ地下で刺身用のアジを買う。家に帰り、パックを破ってちょんぴに匂いをかがせると口をにちゃくちゃと動かす。これは食べそう。小さく切って手に載せると、一口、二口、食べる。量にして大さじ一杯くらいか。食べてくれたことでこちらが安心する。口の周りを拭いて、ねこたつの上に寝かせる。大層疲れた様子。咀嚼も運動やから疲れるわなあ。

12日(水)、小春日和。終日、猫と共に家居。ねこたつから降りて窓の前に行き、「開けて」と鳴く。鳴いても声は出ない。空気が洩れる音がするだけ。窓を開けるとベランダから外へ出る。日がさんさんと当たり、あたたかい。窓から、外の日向で寝そべっているのが見える。もともと外猫なので、元気な頃は日に何度も出入りしていたのだが。しばらく様子をみてから、つっかけを履いて迎えに行く。わたしの姿を見て近づいてくる、その数メートルが遠いらしく、足がふらついている。抱えて家に帰る。軽い。軽すぎる。

13日(木)、立っていることができない。水を飲もうとしてコップに顔を近づけたところで力尽き、顔を半ばコップに突っ込んだまま腹ばいになっているところを発見し救出する。夕方、こたつのそばで粗相をしていたが、すぐ気付いたので大したことはなかった。夜、ねこたつの上に寝かせるも、身動きするたびに無防備に頭から墜落する。痛そうなのでこたつの横に毛布を敷いて寝かせる。名前を呼んで、頭をなでると何となくこっちを見る。耳が冷たい。

14日(金)、一段と朦朧としている。呼吸が弱々しい。「行ってくるわなー」と頭をなでて出掛ける。15:30頃、帰りがけの西大寺の駅で、携帯に電話が掛かってくる。学校から戻った息子2号から。「ちょんぴ冷たくなってる」。そうか――。電車の座席に座って、30分、真っ直ぐ前を向いて泣く。

家に帰ってみれば、朝出掛けた時のまま、何の苦しみもなかったように横になって、ほんのり薄目をあけて、おだやかに最期を迎えていました。撫でたら冷たくて、硬くて、でも「ちょんぴただいまー」と言うたら、にゃあ、て頭を上げて起きてきそうやね、と、夫と息子たちと―。

今日は夫の誕生日。ちょんぴの育ての親の犬のA子さんは夫の兄の誕生日に亡くなりました。一生忘れへんと思います。
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野良猫の子で、何の変哲もない雑種の雉虎でしたが、立派な猫でした。17年と6ヶ月20日、長い長い間、一緒にいてくれました。ちょんぴ、ありがとう。みんなちょんぴが大好きやで。

はげまして下さったみなさま、本当にありがとうございました。
by konohana-bunko | 2008-11-14 22:20 | 猫是好日 | Comments(16)

夢ふたつ

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書きものをしたり東京へ出掛けたり、お家のひとのあれこれに付き合ったりなど、普段よりよく活動した10月が終わり、ほっと気が緩んだとたん、首の骨がおかしくなる。神経圧迫による頭痛が来る。眉の上から、目の奥を通ってぼんの窪まで、針金が刺さっているような痛さ。
痛み止めの薬も最近は通用せず(却って胃が痛い)、1週間に2回カイロプラクティックに行く。11月はじめの連休はひたすらじっとして過ごす。

痛みが遠のき、深く眠れるようになってゆく過程で、幾度か込み入った夢を見る。ひとつは「追われている夢」。制服を着て、大勢の人に混じり、学校とも会社ともつかぬ古くて大きなビルの中を彷徨している。「周囲に自分が自分であると知られると命が危うい」という設定なので、なるべく他人と目を合わさないようにしているのだが、やたらと人に話しかけられたり、用を頼まれたりする。しまいに、講堂の舞台の上に追いつめられる。このままでは万事休す、逃げねば、と思うと、講堂の幕の陰に45ℓのゴミ箱があり、自分はそこを通ると外に逃げられることをなぜだか知っている。ゴミ箱を開けると、中には4つ折りにした段ボールがぎちぎちに詰まっている。(誰や古紙回収に出さんとこんなとこにほかしてッ!)と心の中で悪態をつきながら、左手でゴミ箱の縁を押さえ、右手で段ボールを掴んで引っ張る。段ボールがずぼっと抜ける手応えがしたあたりでだんだんこれが夢だとわかってくる。目が覚めても両の掌に力を入れすぎたしびれが残っている。
もうひとつは「深い水の夢」。水の夢はこどもの頃からよく見る。浅くて大きな川のこともあれば、深い海のこともある。今回の夢で自分は千里中央の駅前を歩いているのだった。大丸ピーコックがある通路や橋のところを行くと、休耕田のように一面雑草に覆われて、人の姿もない。自分の家に帰るのに、北に行けばいいのだったか、南へ出ればいいのだったかわからず、歩き回っているうちに大きな公園だった場所に出る。一面に草ぼうぼうで、(ああここもか)と思う。野球のグラウンドだった部分が陥没して池になっており、透きとおった青い水の底に、サメやエイ、ツバメウオなど大型の魚がうねるように泳いでいるのが見えた。その魚が、どれもこれもみんな真っ黒なのだ。水族館の大型水槽を前にしたような気分で、池の中の魚に見とれていたら、目が覚めた。
夢の中の水を見ていると、(引き込まれたらどうしよう)と、必ず不安になる。と同時に、(中に入ってみたらどうだろう)と、惹かれもする。両方の思いがせめぎ合って、胸がねじれるような、それでいて妙に高揚したような気分になることが多い。
覚めてしまえばただの夢で、だからどうしたということもないが。

家事の合間に古井由吉『東京物語考』を読む。最初は何だかなあと思っていたが、だんだん気分が落ち着くにつれ、面白くなった。通勤途上の読書も再開。岩波文庫『森の生活 上』を少しずつ。
by konohana-bunko | 2008-11-09 22:11 | 日乗 | Comments(2)

おねだり野良猫

スーパーの出口で
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吟じます。
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♪にゃんだか何かもらえそうな気がするぅぅぅぅー
by konohana-bunko | 2008-11-07 22:20 | 猫是好日 | Comments(6)

がんばるちょんぴ

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猫ちょんぴを連れて獣医さんへ。先生に「よくがんばってますねー」とほめていただく。注射一本と点滴。おとなしいのでカラーなし……でもにゃーにゃー文句は言うてました。
by konohana-bunko | 2008-11-05 21:13 | 猫是好日 | Comments(3)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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