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『空庭』  黒瀬珂瀾

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歌集『空庭』(本阿弥書店 2009)より、以下引用。



妹の水着はいつも濡れてゐて炎天に渡りゆく潮溜まり  (海から帰る)

中心に死者立つごとく人らみなエレベーターの隅に寄りたり  (春の聖域)

物ひさぐ悲しみ満ちて花枯るる道端に水わづかかがよふ  (水の刃)

玄関の薄光に浮く靴は君を冬の海路へ運ぶ日を待つ  (植民地(Ⅲ))

人ら等しくとらはれとしてひとやなる星にゐてまた星を眺めつ  (In Rimbo)

恋人と国を違(たが)えて聴く雨の、鉄観音はころころと沸き  (雨を追ふ)

汝が口を口もてふさぐ われの名を零さむとする暁の百合を  (夜の底/Psychommunication)

人の狩るものに孔雀と猫目石、カナンの地、獅子、父に少年  (Hunt)

死がこはい世界がこはい水のない海へと歩む僕の魂  (夏の雨 小さな朗読のために)

ししむらを持つゆゑ飛べず春雪をかづけば無言なる遊園地  (Ghost(2))

復員し挫折しさらに子を亡くし中島栄一歌集はつづく  (金をくれるといふのならどんな歌でもよろこんで)



あちこちから気に入った歌を1首ずつ引いてくるという行為は、鑑賞とは呼べないかもしれないけれど。一冊を読み通す間、命綱なしの綱渡りを地上から見上げているような気持ちだった。どの歌にも、静かで澄み切った緊張感に満ちている。
集の真ん中あたりに、「花冠」という一連があり、わたしはその章を読んでいる時が一番こころが和んだ。淡あわとした印象の小品。



けざやかに散りしぼたんのくれなゐにささやく汝の息のゆふばえ  (花冠)

めつむればひとり消えゆくわれの身の裡にはかすかなる冬菫
by konohana-bunko | 2009-10-29 19:09 | 読書雑感 | Comments(0)

ガラスボタンに色を塗る

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24日(土)、北堀江の雑貨・喫茶 チャルカさんへ。「チェコのガラスボタンのペイント教室」というイベントに参加させていただく。無地のボタン(表面に模様の型が押されている)に、色を塗ってオリジナルのボタンを作りましょう、という教室。塗料はヴィトラーユというものを使った。
型押しの花の上に、細い筆で塗料を乗せようとすると、ガラスの細い溝に沿ってたーッと色が走ってゆく。毛細管現象?面白い。しかし、思ったところで止まってくれるわけではないので、どこもかしこも同じ色になってしまいそうになる。小さいボタンを指で押さえ、じっと目を凝らす。細かいところが見えづらい。そろそろ老眼やなぁ。
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同じボタンでも、塗る人によって随分雰囲気が変わる。あたりまえだけれど、そこが楽しい。わたしが塗ると、チェコのボタンが、妙に和風?の淡い色合いに。でもこれはこれで結構好き。お店に飾っておきましょう。
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チャルカさん、長野先生、ご一緒させていただいたみなさん、ありがとうございました。
by konohana-bunko | 2009-10-26 22:27 | 日乗 | Comments(2)

ストレッチの前に

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朝、猫がながながと伸びをしている姿を見たおうちの人が
「この間ちょっと背伸びしたら、脇腹のとこでめりめりってヘンな音がしてなぁ、急に伸びしたらアカンわ。筋痛める」
と言う。
それを聞いて
「そうや急にストレッチしたらアカンで。ストレッチする前にストレッチせな」
と返事したうちらの身体てどんだけゴワゴワやねん。

先週。テレビのチャンネルを切り替えていたら、「ドラえもん」をやっていた。目に入ったのは、ジャイアンが、妹ジャイ子(漫画家志望)が自費出版した漫画本をのび太とスネ夫に無理矢理売りつけるというシーン。へえ、こども向けのアニメに「自費出版」なんてコトバが出て来るんや。びっくり。出て来るということは、こどもの世界でも通用するんやろなあ。しかも「中身はつまらなくて、ハタ迷惑な本」という意味を含みつつ。

写真は某日朝、ご近所の公園にて。ここで前日、小さなお茶会があった様子。
by konohana-bunko | 2009-10-22 23:40 | 日乗 | Comments(4)

ダレモイナイ……

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ダレモイナイ……
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ノゾクナラ イマノウチ
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by konohana-bunko | 2009-10-20 11:33 | 猫是好日 | Comments(5)

ウタノタマゴ*26

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ヲリヅルヲイノリツツヲルヒトノユビニニジムデアラウアキノソライロ

歌にしようとすると、最初にこころを動かされた地点から、ちょっとずつズレたところに着地してしまう。
と、わかっていても、性懲りもなく、ああでもないこうでもないと。
by konohana-bunko | 2009-10-19 10:12 | Comments(0)

折る人

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秋晴れの日、所用で大阪まで。最寄りの駅から急行電車に乗る。朝少しゆっくり目の時間だったので、座れた。大阪線はずっとカーブが続くので、座れるとかなりうれしい。
電車が動き出したので、鞄から本を出した。『塚本邦雄の青春』の続き、あともう少しで読み終わる。

わたしの右隣には、スーツ姿の会社員風の男性が座っていた。若いともいえない、40代くらいの人だろうか。
その男性の側から、かさかさと紙の擦れ合う音がする。
音が気になって、見た。その人は膝の上にA4サイズのレザーの鞄を載せ、その中に両手を突っ込んで動かしている。(ガムの紙でも剥いてんのかな)と思い、目をページに戻した。
しかしまだかさかさやっている。一定のペースで、いつまでも紙の擦れ合う音が続く。
いよいよ気になり、(何したはんね)とその人の手許――鞄の中――を覗いてみたら、空色の小さな折り紙が見えた。
その人は折り紙で、鶴を折っていたのだ。
(いやっ、千羽鶴作ったはるんやわ)それがわかった瞬間、どきっとした。
見咎めるような気持ちで覗き込んだことが恥ずかしかった。しかしその人の手の動きから、わたしは目が離せなかった。一羽の折り鶴が仕上がると、その人は念入りに指で押しをかけ、鞄の奥にしまった。そしてまたあたらしい折り紙――ふたたび空色――に取りかかるのだった。

何の、誰のための千羽鶴かはわからないけれど、祈りが届くといいと思った。
by konohana-bunko | 2009-10-16 17:21 | Comments(2)

秋のおでかけ 天神さんの古本市

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10日(土)、大阪へお店番に出るついで、朝のうちに天神さんの古本市へ。南森町は今までもっす遠いところだと思っていたが、店からだと地下鉄で目と鼻の先だということが判明。嗚呼何という便利さ。天神さん毎月古本市しはらへんやろか?
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古書空閑文庫さんのカラフルな木箱。ジュースの箱かな?
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猫本いろいろ
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厚生書店さんの読み聞かせ、楽しそう。
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均一台で、装画が気に入って買った2冊。中里恒子『誰袖草』ははじめて見たので。(装幀=青山二郎。)萩原葉子『天上の花 ―三好達治抄―』(装画=堀川公子)はカバー(ジャケット)の縦の寸法が表紙より17mm長く、余った丈が上でも下でもくしゃくしゃになって気の毒だった。本体を保護するために、わざと大きめにしているのだろうか。埃っぽいので濡れティッシュで拭いたら赤色がにじんで驚いた。家に持って帰ってグラシン紙をかけた。
by konohana-bunko | 2009-10-14 21:57 | 古本屋さん見聞記 | Comments(5)

衣更え

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るい子「小ちゃいお兄たんは……」
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「ジーンズ持ちでち!」
ほんまはもっとあるんやでぇ。ベルトもすごいデ。



最近のお気に入りCDは、fonogenicoの「ねがいごと」。Sotte Bosseの新しいアルバムも聴いてみたいなと思いつつ、まだ買ってない……。古本はさくっと買うのにCDとなると妙に及び腰になるのは何でや。

音楽の話ついでに、こちらもお気に入り動画。フルートはジャン・クロード・ジェラール。ジェラールおじいたんうますぎ。フルート×ギターもええもんやねぇ。
http://www.youtube.com/watch?v=gQbpZMOxmwg
http://www.youtube.com/watch?v=yISTyyILWVs&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=yISTyyILWVs&feature=related
by konohana-bunko | 2009-10-12 20:54 | 猫是好日 | Comments(2)

かるたクイーン

台風一過、ひんやりとした一日。洗濯物にくっついてバッタが部屋の中に。動くものに目のないルイルイが見逃すはずもなく……
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「なにはがたぁー」(ばしっ)
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「…………」
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「ひさかたのぉぉーー」(はっし)

って、いやいやバッタが気の毒。このあと、バッタは無事室外へ脱出。
by konohana-bunko | 2009-10-09 22:10 | 猫是好日 | Comments(2)

このはな文庫 10月も毎週土曜日営業です

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by konohana-bunko | 2009-10-06 18:44 | 古本屋さん開業記 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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