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移動の記録 奈良~東京

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8日(日) 唐招提寺・薬師寺へ。
唐招提寺は3日に9年がかりの金堂大修理の落慶法要があったばかり。奈良に越して来てから、唐招提寺へは数度行ったが、ずっと工事中、ようやく念願の千手観音像を拝見。ええお顔の仏さま。厳かな中に、あたたかい感じがする。テレビの特集番組の効果もあってか、大変な人出。でもわたしはここの境内が好きだ。空気がしっとりしている。
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薬師寺は薬師寺で、解体修理のため、東塔に調査の足場が組まれている。
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唐招提寺の乾漆や木彫りの仏さまを見てすぐの目で、薬師寺の日光月光菩薩を見たら、ものすごくモダンに感じた。えらいスタイルええし。ヒップホップとか踊れそうやし。
かいらしい散華の絵はがきが出ていたので買う。小倉遊亀の梅、杉本健吉の迦陵頻伽。
お弁当を作って持参したものの、どちらのお寺も飲食禁止、結局西の京の駅のホームでお昼。電車に乗った他所のこどもに、おにぎりを頬ばっているところをガン見される。

22日(日) 日月西日本歌会。奈良県文化会館にて。会の前に智林堂さんに寄るも、余裕なく何も買えず。ちりんちゃんとちょこっとお話。歌会はやや少人数、ゆっくり意見交換ができた。
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23日(月・祝) 仕事関係と歌の会の用を兼ねて東京へ。目一杯早い飛行機に乗り、必死で早歩き、用事済ませて、一瞬だけ神保町。街の匂いだけかぐ。ブック・ダイバーさんで『閑適のうた 中華愛誦詩選』など買う。
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午後、日月の優良歌誌表彰のパーティに。久し振りの日月のみなさん、加藤英彦さんにもごあいさつ。藤原龍一郎さんのあたたかいスピーチがうれしかった。国分寺で一泊。

24日(火) この日は山本善行さんが奈良の古本屋さん巡りをされるとのこと、何と間ンの悪いわたし……遭遇できず非常に残念。悔しいので(?)国立のブで『光の教会 安藤忠雄の現場』など、少しだけ拾う。いっぱい買いたいけどね。重いしね。
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東京のモノレールから見える景色が好き。船とか、倉庫とか、工事の重機とか。殺風景だけど惹かれる。競馬場はきれいな紅葉。
帰りの飛行機の窓から畝傍山と耳成山が見えた。ああ、ルパンⅢ世やったらこっからパラシュートで降りられるのにー。
by konohana-bunko | 2009-11-26 22:48 | 日乗 | Comments(2)

読む前に売れ  北園克衛の句と永瀬清子の詩

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読もうか読むまいかなどと言うてる間に向井敏『傑作の条件』が売れた。うれしい。

お届けの前に2つだけ、またしても孫引き。ひとつ目は大岡信『折々のうた』について書かれた文章から。

《北園克衛といえば、昭和のはじめから戦後にかけて、前衛詩の一方の雄として鳴らした詩人。彼の詩業には一通り眼を通してはいたのだが、そしてじつをいうといっこうに感心しなかったのだが、その北園克衛が晩年になって句作に親しみ、飄々として姿のいい句をいくつも残していようとは、『折々のうた』に教えられるまで、まるで知らずにいた。左に引くのはその一つ、「河童十景」と題する連作のなかの一句。見かけばかり派手だった前衛詩の作者としてよりも、この一句の作者として記憶されるほうが北園克衛にとって名誉ではあるまいかといいたいほどの出来ばえである。

空風に小手かざしゆく河童かな》(p98「紙上の花吹雪」より)

からかぜにこてかざしゆくかっぱかな。いいなあ!

もうひとつは「本よむ人の歌」という章から。

《たった一行の言葉のために、あるいは一節の詩句のために書かれたような詩がある。逆にいえば、その一行、その一節をもつことではじめて鋭さが研ぎ出されてくるような詩がある。豊かさが溢れ出てくるような詩がある。》(p31)
という書き出しから、永瀬清子の「諸国の天女」という詩が紹介されている。(詩集『諸国の天女』河出書房、のち思潮社版『永瀬清子詩集』再録。)以下引用。

《諸国の天女は漁夫や猟人を夫として
いつも忘れ得ず想つてゐる、
底なき天を翔けた日を。

人の世のたつきのあはれないとなみ
やすむひまなきあした夕べに
わが忘れぬ喜びを人は知らない。
井の水を汲めばその中に
天の光がしたたつてゐる
花咲けば花の中に
かの日の天の着物がそよぐ。
雨と風とがささやくあこがれ
我が子に唄へばそらんじて
何を意味するとか思ふのだらう。

せめてぬるめる春の波間に
或る日はかづきつ嘆かへば
涙はからき潮にまじり
空ははるかに金のひかり
ああ遠い山々を過ぎゆく雲に
わが分身の乗りゆく姿
さあれかの水蒸気みどりの方へ
いつの日か去る日もあらば
いかに嘆かんわが人々は

きづなは地にあこがれは空に
うつくしい樹木にみちた岸辺や谷間で
いつか年月のまにまに
冬過ぎ春来て諸国の天女も老いる。》(p31-33)

引用終わり。この2つ読めただけでも得したというもの。向井敏の本またどこかで拾ってきましょう。
by konohana-bunko | 2009-11-18 20:23 | 読書雑感 | Comments(0)

不幸な人の友だちであろうとして

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さっきGmailの受信ボックスを開けてみたら、「[書評]のメルマガ」vol.433が届いていた。「エエジャナイカ」の北村知之さんの文章を読む。「全著快読 編集工房ノアを読む(11)」。白楽天の漢詩を口語訳(?)したものが引かれている。以下引用。

《きたの はなぞの
きたの その はるかぜ ふいて
はなばなが つぎつぎ ひらく
すぐ ちると しって いるから
いちにちに さんど よど くる
はなの した おさけは あるが
つぎかけて やはり ためらう
わが ともは せんりの かなた
さあ のめと いう やつが ない

元版の『白楽天詩集』(六興出版)には、吉川幸次郎の帯文があり、「白楽天という詩人は、不幸な人の友だちであろうとして、誰にでもわかる言葉で詩をつづることに努力した」と書かれているらしい。》

引用終わり。引用の引用の引用の……ひ孫引きみたいになってしまうけれども、このひらがなの詩の最後の行と、「白楽天という詩人は……」のくだりで、ちょっとだけ泣きそうになった。白楽天って、そうなんか……。
不幸な人は、友だちがいてもいなくても不幸だ。でも「不幸な人の友だちでありたい」と願うこころはうつくしいものだと思う。
北村さんの文章ええなあ。好きやなあ。

今日ちょうど向井敏の『傑作の条件』を出品しようとぱらぱらしていて、最初の方に開高健の

《くさはうらうら あめはしとしと
はなにはるかぜ まだつめたい
しょんがいな しょんがいな
ごろりちゃらりと ねしょうがつ》

が載っているのを見つけてなつかしくなっていたところ。この本、まだちゃんと全部読めてない……読んでから出すか?せやけどそんなこと言うて置いたある本増えるばっかりやでぇ。うーん。
by konohana-bunko | 2009-11-17 22:19 | 日乗 | Comments(4)

ハナミズキ

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マンションに、脚立を積んだトラックがやって来た。年に何度か、敷地内の植木の剪定をするのだ。今回はケヤキとハナミズキを重点的に切るらしい。
鋏の音がだんだん部屋に近づいて来る。
昼前、いよいようちの庭の前のハナミズキにとりかかった。脚立を立てて、ひょいひょいと登って手鋏を使う。歯切れのいい音がして、ぱさ、ぱさ、と、小さい枝が地面に落ちる。少し太い枝は小さい鋸でさっさっと挽いて落とす。
ハナミズキはちょうどきれいに紅葉していて、逆光に透けると何ともいえずいい紅色なのだ。枝の先には朱赤のつやつやした実がいっぱいついている。毎朝、ヒヨドリが食べに来る。先週からはジョウビタキも来るようになった。こどもがむしって、おままごとに使ったりもする。そんな葉っぱも実ももろともに、ぱちん、ぱちんと落とされていく。
ちょっともったいない。
でも冷たい雨降りの中、管理人さんが掃いても掃いてもきりのない落ち葉を掃除している姿も知っているから、しゃあないな、とも思う。
どんどん枝葉が透かされてゆく。最初は(ああ、あんまり切らんといて)と思うのに、ある程度進むと、何だかふっきれて気分が良くなってくる。(散髪と同じで、案外と木も気持ちいいんじゃないか)と、勝手な当て推量で思えてくる。
脚立が外され、竹箒が動き、トラックのエンジンの音が遠ざかって、静かになった。
紅葉と赤い実は3分の1くらい残った。木の上の空が広くなった。
by konohana-bunko | 2009-11-15 23:44 | 日乗 | Comments(0)

ちょんぴとるいるい

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ちょんぴが亡くなってから、もうすぐ一年。
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るい子「ねーねーおじいたん、遊びましょ」ごろーん ぼてーん
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「いやんもう、おじいたんたら」
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ちょんぴ「……あらくたい娘さんやなァ」
by konohana-bunko | 2009-11-11 19:14 | 猫是好日 | Comments(2)

11月営業日のお知らせ

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☆.・∴.・∵☆:*・∵.:*・☆.☆.。.:*,☆ :*・∵.:☆.。.:*・:*・∵.☆
usedbooks このはな文庫

・営業日 毎週土曜日 11月7日(土)・14日(土)・21日(土)やっています
・営業時間 10:30-17:00

☆11月28日(土)は都合によりお休みさせていただきます。

大阪市中央区淡路町2-5-8 船場ビルディング213号
電話 06-6228-5300 FAX 06-6228-5445

・アクセス
地下鉄御堂筋線 淀屋橋駅 (11番出口) 本町駅 (1番出口)
地下鉄堺筋線 北浜駅 (6番出口) 堺筋本町駅 (17番出口)
いずれも徒歩8分ほど。淡路町通り北側、黄土色のタイル張りの建物です。
お車でお越しの方は付近のコインパーキングをご利用下さい。

☆.・∴.・∵☆:*・∵.:*・☆.☆.。.:*,☆ :*・∵.:☆.。.:*・:*・∵.☆
by konohana-bunko | 2009-11-06 21:54 | 古本屋さん開業記 | Comments(0)

『百年目の青空』  宮沢章夫

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日常の中にあるささいな凹にはまる。普通ならはまったことにすら気付かないまま先へ行ってしまうその凹にあえて囚われ、その上もっともっとと掘り下げてみる。無意味だとわかっていながらやってしまう。これを「はまり癖」あるいは「堀り癖」と呼ぶとすれば、宮沢章夫は「はまり癖」の人なのだろう。わたしはこの手の「はまり癖」から生まれる笑いが好きだ。大真面目に真剣に掘るのがコツだ。

日常のくだらない行為に、どうして「作戦」とか「大作戦」ということばを付けるのか?付けると、どうなるのか?この凹について掘り下げて考える「作戦の思想」(p124-125)という章から、下に引用する。



私がなぜ、「作戦」について意識的になったかを語らなければならない。
話は、子ども時代の映画体験にさかのぼる。子どもの頃に見た映画のひとつに、『バルジ大作戦』がある。友だちの誰が言い出したのかわからないが、ドイツ軍のタイガー戦車がかっこいいというので、私たちはそれを見ようと家から歩いてすぐの場所にある映画館に入った。スクリーンに登場する戦車を見てただそれだけで満足していたのだろう。記憶にあるのは、戦車のキャタピラーと炎上する戦車の映像だけだ。大人になってから、あらためて、『バルジ大作戦』を見て驚いた。思わず声に出して言ったのだった。
「バルジってこういう作戦だったのか」
それはドイツ軍の最強の戦車隊に対し、連合軍が実行した給油路を絶つ作戦だ。子どもだった私が、そんなことにまったく気がつかなかったのだとしたら、いったいスクリーンに映し出される映像になにを見ていたというのだろう。
戦車だ。
ただただ、戦車しか見ていなかった。そして、このことから、ひとつの発見があった。
「子どもに作戦は無理」
by konohana-bunko | 2009-11-04 22:46 | 読書雑感 | Comments(0)

読書の記録 神無月

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『静かな生活』  大江健三郎  講談社
『こぶたのまーち』  こどものとも159号  むらやまけいこ さく ほりうちせいいち え  福音館書店
『猫はどこ?』  林丈二  講談社文庫
『パンダまんが』  アランジ・アロンゾ  ベネッセ
『塚本邦雄の青春』  楠見朋彦  ウエッジ文庫
『國語精粋記』  塚本邦雄  装幀:政田岑生  講談社
『百年目の青空』  宮沢章夫  マガジンハウス
『隠者はめぐる』  富岡多恵子  岩波書店

ちょっと少なめ。

大江健三郎は、たまに読んでしまう。自分でも好きなのか嫌いなのかよくわからない。自分の中で一番面白かったのは『洪水はわが魂に及び』。
小説の中で、いつも、弱い者がむごたらしい目に遭う。(あんまり読後感が辛かったので『人生の親戚』なんてどんな話だったかも忘れてしまった。)そのむごたらしさの隙間から、人間の聖性みたいなのとか、生きる希望みたいなのの光が差して来る。だから、ひどいなあ、むごいなあと思いながら最後まで読んでしまう。で、疲れる。この人の、ヘンな文章やしね。ある意味、悪文やんね。
『静かな生活』は、小説家のこどもたちを中心とした家族の物語。傷つきやすいものが、自分の身を守りつつ、家族で支え合い、他人になるべく迷惑をかけないよう、しかし自分を殺すことなく、それぞれの魂の仕事を少しずつ果たしていく。そんな静かな生活を送りたいという願いの、何と叶いがたいことか。この本の読後感もやはり重い。おまけにこのお父さん、何となく腹立つ。わたしが腹立ててもしゃあないけど。

『塚本邦雄の青春』はとてもいい本だった。内容も、書きぶりも。本当に伝えたいことは、こういうふうに書いて、静かに差し出すものなんだよ、と教えられた気持ちになった。楠見さん書いて下さってありがとうございます。
by konohana-bunko | 2009-11-03 08:56 | 読書雑感 | Comments(0)

猫はこたつで

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裏返る。
by konohana-bunko | 2009-11-02 22:34 | 猫是好日 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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