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マタニティバッジ

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急行に乗る。運良く席が空いていたので座ったら、私の前に若い女性が立った。彼女の鞄には「おなかに赤ちゃんがいます」のバッジが。慌てて席を譲り隣の車輌に移動、丁度席が空いたので座ったら、次の駅でまたマタニティーバッジをつけた女性が私の目の前に!吃驚。でもあのバッジは分かり易くていい。
by konohana-bunko | 2013-02-22 17:27 | 空中底辺 | Comments(0)

『草の庭』 小池光

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小池光第4歌集『草の庭』(砂子屋書房 1996)より、以下引用。



荒物屋の店さきにして釜ひとつ動かざるまま夜に入りゆく

としよりのからだは手ぶくろのにほひすとわが子がいへるときにかなしも

あぢさゐのつゆの葉かげに瓦斯ボンベこゑなく立てり家をささへて

おびただしくかたつむりゐて泣かむとすげに遠き日のあぢさゐのはな

  団地四階畳替へ
なげおろす畳はときにふはりとし道に落ちると埃もたたず

子供部屋に歌推敲す子供ゐぬ子供部屋にてわれはやすらぐ

窓枠の四角い空にひだりより三番目の雲さかんにうごく

歩み初めたるこどもにてあゆみゆき電信柱をしきりに叩く

昭和三年測量五万分の一「寒河江」かなしもよ寺の数かず

煙草屋はむかしのごとく店土間の空きのはざまに自転車しまふ

うすぐらき小路に入る春昼の鳥かご提げし宦官ひとり

春くれば軒下ひくき荒物屋天牛印軍手をぞ売る

こころよりうどんを食へばあぶらげの甘く煮たるは慈悲のごとしも

ふりかへり見ればめがねの知晴(ともはる)がひとり鉄棒にぶら下がりをり

朝礼に迷ひこみ来し小犬(しようけん)に女子整列のしばし乱るる

ふりかへり見しとき雪の中にしておみくじ箱の赤は濡れたり

マンホールの蓋はくるしく濡れながら若草いろの鞠ひとつ載す

きたるべき夜を前にして石段の端とこしへに運河に浸る

川しもに傾きふかく杭はたつ降りくる葦をせつにもとめて

通勤快速ラビット号に間のありて眼はあそぶ晩唐李商隠の詩

ふとん打つおともいかにも春となり街上に横たはる縄一本

行くみづのながれにくだる石階にセキレイ降りて草川といふ

棒状のものはたためる傘にしてはこびながらにわが影うごく

残年の二人小声にしてをれる競輪懺悔もわれは聞きゐる

犬猫はすがしきかなや成長ののちひとたびに親を忘るる

電信柱のかげに夜をゐる自転車の尻へあらはにかなしきごとし



「めがねの知晴」という、固有名詞。
「知晴」とだけ出されると、ひとりよがりになるかもしれないのに、「めがねの」と付くとなぜか(ああ、あの)と思わされる。
屋号のような「めがねの」が、妙な説得力を発揮する。このことばに、未知の人物に親しみを持たせる力がある。
この知晴の歌や、〈佐野朋子のばかころしたろと思ひつつ教室へ行きしが佐野朋子おらず〉(『日々の思ひ出』)を読むと、矢玉四郎の『はれときどきぶた』に出て来る「おできはれ子のばかたれ おできがはれてしまえ」というくだりを連想してしまう。

昨年の写真。昔ながらのロウバイの花。
by konohana-bunko | 2013-02-18 23:28 | 読書雑感 | Comments(0)

『青い小径 夢二詩歌集』  野ばら社

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『青い小径(あおいこみち) 夢二詩歌集』  竹久夢二 野ばら社(1973改訂再版)。ジャケットを外したら小鳥が出てきた。
by konohana-bunko | 2013-02-18 21:06 | あんな本こんな本 | Comments(0)

母の日曜日

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母は梅田に買物に行くのが好きだった。私を連れて行きたがった。別珍のワンピースを着せ、ナイロンレースの痒い靴下、エナメルの靴を履かせて。地下鉄で四十分、梅田に着く直前に必ず眠くなり母に嫌がられた。百貨店の食料品売場は息苦しかった。自分の欲しいものだけ買って、母は楽しそうにしていた。
by konohana-bunko | 2013-02-16 17:25 | 空中底辺 | Comments(0)

『わが愛と性』 荒木経惟vs田辺聖子

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『わが愛と性』 荒木経惟vs田辺聖子 創樹社(1982)の裏表紙。装幀=南伸坊。
by konohana-bunko | 2013-02-16 11:20 | あんな本こんな本 | Comments(0)

おじゃる丸

昨日の「おじゃる丸」。子鬼らが二匹の子猫を見つける。アカネが猫を抱き上げ、猫を触ったことのなかったキスケにも抱かせて喜こぶ。しかし猫は二匹なのでアオベエに抱っこさせる猫が足りない。するとアオベエ「じゃあわしは猫を抱っこしているお前たちを抱っこするでごんす!」アオベエ、何と男前な。
by konohana-bunko | 2013-02-15 17:21 | 空中底辺 | Comments(0)

宝交早生

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苺は市場の軒下で売られていた。浅い木箱に無選別の苺が入っていた。値段を太い字で書いたへぎ板が立ててあった。 苺下さい、と言うと、小父さんはプラスチックの板で苺を掬い、茶紙の袋に入れ、秤で重さを量った。(端っこの大きい粒入れてくれへんかな)と期待しながら小父さんの手許を見ていた。 木箱の苺が減ると、底に敷いた新聞紙が露わになった。新聞には苺の果汁が染みていた。柔らかいものが乱雑に扱われる時、無傷で済むものもあればあえなく潰れてしまうものもある。その結果としての赤をいつも、じっと見てしまうのだった。鮮やかさと酷たらしさを同時に感じて恍惚としていたのだった。
by konohana-bunko | 2013-02-15 11:15 | 空中底辺 | Comments(0)

花の名はすべて春の光

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朝、開店前の園芸店で、花木の苗が並んでいるのを見る。桜桃、山茱萸、三椏、連翹、小手毬。白梅、紅梅、梅八重咲き、枝垂れ梅。河津桜、啓翁桜、枝垂れ桜、花海棠。沙羅の木。花桃、照手桃。ライラック、キングサリ、花水木、ひなびた山桜桃。 今、苗はまだ枝ばかりの姿で、ポット植えの根元には今朝の雪さえ残しているけれど、その枝先にある芽、各々の木に相応しい色と形の芽を見れば、その内におそろしいまでの力が充ち満ちていることがわかる。花芽の一つ一つに完璧な花を隠し持っていることがわかる。これらが一斉に咲いたところを思い描くだけで、幻の春の気に包まれるようで、くらくらする。
by konohana-bunko | 2013-02-09 11:19 | 空中底辺 | Comments(0)

小夜更

小さな鍋に水と牛乳、紅茶の葉を入れて沸かす。鍋の縁から細かい泡が生まれ、増え、鍋の中央に雪崩つつ噴き上がる。チャイをカップに注ぎ、ああやっとひとりになれた、と思う。ひとりでも満ち足りていられるひとりになれた。私は『100万回生きた猫』に出て来る、あの白い猫のように老いてゆきたい。
by konohana-bunko | 2013-02-08 11:20 | 空中底辺 | Comments(0)

読書の記録 睦月

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『るすばんをしたオルリック』(絵本) ディビッド・マッキー ぶん・え はら しょう やく アリス館
『あなたを成功と富と健康に導くハワイの秘法』 ジョー・ヴィターリ イハレアカラ・ヒューレン 東本貢司訳 PHP研究所
『ドキドキしちゃう 岡本太郎の“書”』 構成・監修 平野暁臣 小学館クリエイティブ
『私の中の地獄』 武田泰淳 筑摩書房
『ウニヒピリ』 イハレアカラ・ヒューレン KR インタビュー:平良アイリーン サンマーク出版
『まにあうよ、いまからでも 生きることが楽になる12のステップ』 A.J.ツワルスキー チャールズ・シュルツ 笹野洋子訳 講談社

写真は1月14日、大雪の日の蓮田。 
by konohana-bunko | 2013-02-05 15:36 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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