宮崎信義 歌集『いのち』 2010年 短歌研究社
「最近」といっていいのかどうか。昨年(2021年)年末頃に読んでいた本。
好きな歌を10首抄出してみる。
・麦が生える菜種が咲く火葬場へはこういう道を通る
・空を切るビルの鋭さ前と横との桜が咲いたもういそぐまい
・枯れ葉がひらひら散ってくる受けると掌がぬくもってくる 掌に「てのひら」のルビ
・向こうに人影がある行ってみよう人生がどんなだったかきいてみよう
・私のいのち見えるだろうか空を飛ぶ一羽の鳥のいのちが見える
・ここしばらくいのちが居坐っている天気予報に似ているな
・誰が見ててもよいではないかこの顔が鬼に見えてもよいではないか
・風もないのに梅の花が点々と散るやわらかさ私が死ぬのだ
・石ころがよく見える小川だ水が早くて明日が見える
・口語には口語のリズムがあるそれを無視して短歌は出来ない 短歌に「うた」のルビ