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はすのはなちるひとひらのしづむまでゆきませうひるのひぢのみなもを
by konohana-bunko | 2015-07-11 21:40 | 日乗 | Comments(0)

歌集『中つ國より』 田中教子

歌集『中つ國より』 田中教子 文芸社(2013)より、以下引用。

―――

生と死のはざまに浮かぶ影として水族館の夜をめぐれり

トウモロコシに粒の数だけ髭があり生の数だけ死の数はある

喘息の子のかたわらに眠る夜ゆめに巨大な樹が生えてくる

論文の中より「人」が透けて見ゆ 乾いている人 しめっている人

どのように呼んでも返事のない雲は朝の息子のようなり おーい

夢のなかに夜ごとに伸びゆくビルあれば覚めてしばらくくらくらとせり

冬の川にうつす我が影 きらきらと生れ日時の分からぬ石たち

過去の世に幾度も親を殺めたる我が魂に雪が降り積む

塩壷に水湧くようなさみしき日 島影は父海原は母

―――

近しい人――血のつながりのある「うから」へのまなざし、それをうたに詠むときの構え方にシンパシーを感じた。

・火のような楓の一樹かなしくてならないときはその幹を抱く

という歌もあった。一読、(格好いいなあ)と思った。絵になる歌というべきか。切実さの伝わるいい歌だと思うし、こううたいたくなる気持ちには共感できる。でも、わたしはこういう風には(今は、たぶん)うたえない。
「うたいあげる」のが相応う歌人とそうでない人がいるのではないか。そんなことを考えさせられた。
by konohana-bunko | 2015-01-10 20:25 | 読書雑感 | Comments(0)

知らないことを思い出す

何か書かないとこころが干からびる。かと言って、くだらないことを書き散らしても、後でこころがささくれだつだけ。わたしはただの容れものだ。書きたいという思いだけがあって、具体的な中身が何もない。

ことばの遅いこどものように、しゃがみこんで土や虫や花をぼんやり見ている。何も感じていないわけではないのだ、断じて。こころはいつも動いている、逆に、感じ過ぎて苦しいくらいだ。しかし、どんなに情緒や情趣が渦巻いていたとしても、表現しなければ、それらは「ない」のと同じなのだ。

知らないことを思い出すのと同じ行為だ。うたを詠むということは。
by konohana-bunko | 2014-12-03 19:07 | 空中底辺 | Comments(3)

うたのおぼえがき

「うた新聞」2013年11月号 佐藤通雅 「水」15首より抄出

いよいよに激する雨に表裏ありその表何度も白く耀ふ

カレンダー一枚一気に剝ぎ捨ててまつさらな月をまなかひにする

スカートをはらりとあげてなにせむと見るに幼女は尿をはじむ

萬葉堂の匂ひのなかにエプロンの人ゐて本の汚れを削る

値崩れといふどころでない全集が締上げられて床に横ざま

いいところ突くでないかと読みたるはわが忘れゐし若き日の文

水はいい ますぐに落ちて光となり影すら生んで遠くへ流る

by konohana-bunko | 2014-01-12 19:30 | 読書雑感 | Comments(2)

うたあつめ1 風景、欠けた。

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「うたあつめ1 風景、欠けた。」 とみいえひろこ (2013年7月16日発行)より、すこしだけ以下引用。



にゃあ、と泣いた。ニセモノ入れのかんかんにニャア子の夜のひげをしまいぬ

わかる、どうして石が濡れてとどまっていたのか初夏白昼

向うには港、朝鳥、声、大人、海辺、あこがれ、桜、空、空

湯が冷めて脚から青い光り流れつらさうな女が濯がれてゐる

藻 ゆらゆら オレンヂが降る とまる泡 おちる泡 藻の糸がきしんで

線に潜りわたしは奔る絹糸を吐くほどに細く見えなくなって



とみいえさんの歌を読んでいると、不思議な既視感にかられる。知らない筈、体験していない筈のことなのに、身体の深い部分が勝手に(知ってる、知ってる)(でも違う)(わからない、わからない)と、とめどなく共鳴りを始める。あまりじーっと繰り返し読んでいると、その共鳴に内から小さく破壊されて、身体から何かが滲み出てしまいそうなので、そこがちょっと(いい意味で)怖かったりもする。きっと、好きなんだな。わたしはとみいえさんの歌が。
by konohana-bunko | 2013-09-04 20:31 | 読書雑感 | Comments(0)

読書の記録 葉月

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『シルバー・バーチの霊訓(五)』  A・W・オースティン編  近藤千雄訳  潮文社
『シルバー・バーチの霊訓(二)』  シルビア・バーバネル編  近藤千雄訳  潮文社
『檸檬』  梶井基次郎  新潮文庫  (再読)
『白光への道』  五井昌久  白光出版
『光明をつかむ』  五井昌久  白光出版
『魔法使いのおともだち』  東君平  サンリオ
『きょうのおべんとうなんだろな』(絵本)  きしだえりこ さく やまわきゆりこ え 福音館書店
『野の草花』(絵本)  古矢一穂 ぶん 高森登志夫 え 福音館書店 かがくのほん
『遠い朝の本たち』  須賀敦子  ちくま文庫
「南方熊楠の世界」  徳間書店 TOWN MOOK
『心が楽になるホ・オポノポノの教え』  イハレアカラ・ヒューレン  イースト・プレス
『故郷に帰る道』  ホワイト・イーグル  大内博訳  ナチュラル・スピリット
『窮巷雑歌』(歌集)  玉城徹  不識書院  (再読)
by konohana-bunko | 2013-09-04 20:04 | 読書雑感 | Comments(3)

読書の記録 文月

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『思い出トランプ』  向田邦子 新潮社
『ほほえみの首飾り』  美輪明宏 水書房
『心はゴムひも?!』  立花大敬 本心庵
『医者の世話にならない生きかた』  渥美和彦 ダイヤモンド社
『トリエステの坂道』  須賀敦子 みすず書房
『ふるさとは赤』(歌集) 三原由起子 本阿弥書店
『みんなのベロニカ』(絵本)  ロジャー・デュボアザン さく・え 神宮輝夫訳 童話館出版
『チューチューこいぬ』(絵本)  長新太さく BL出版
『ちいさな木ぼりのおひゃくしょうさん』(絵本) ダルグリーシュぶん アニタ・ローベルえ 星川菜津代訳 童話館出版
『生んでくれてありがとう』(絵本)  葉祥明 絵・文 サンマーク出版
『うさぎとおんどりときつね』(絵本)  レーベデフ文・絵 うちだりさこ訳 岩波書店
『おやすみなさい おつきさま』(絵本)  マーガレット・ワイズ・ブラウンさく クレメント・ハードえ せたていじ訳 評論社
『ぞうさんレレブム』(絵本) シュレーダー文・絵 矢川澄子訳 岩波書店
『漢字百話』  白川静 中公文庫
『うたのてんらんかい』(絵本) くどうなおこ・うた 長新太・え
by konohana-bunko | 2013-08-04 11:17 | 読書雑感 | Comments(0)

歌反故

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小さな体験を歌にしようといじり始めたらイメージが膨れあがり、それに頭を占拠されたまま、何日も何日も茶碗を洗ったり洗濯物を干したりする羽目に。今朝ご飯を食べている時にようやく歌の姿が見え、乳歯が抜けるようにぽろりと成った。歌反故をまとめて雑巾みたいにぎゅっと絞って、ゴミ箱にほかす。
by konohana-bunko | 2013-06-26 20:27 | 空中底辺 | Comments(0)

読書の記録 皐月

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『「福」に憑かれた男』  喜多川泰  総合法令
『だんな様は霊能力者』  くみ  ダイヤモンド社
『わたしはあなたを忘れない マザー・テレサのこころ』  ドン・ボスコ社
『Cats in the Sun』 (写真集)  Hans Silvester  TREVILLE
「天然生活」  VOL.97  2013年2月号 編み物ABC
『3分間でできる健康体操 真向法』  真向法普及会  朝日ソノラマ
『窓、その他』 (歌集)  内山晶太  六花書林
『石泉』 (歌集)  斎藤茂吉  短歌新聞社文庫
『トリサンナイタ』 (歌集)  大口玲子  角川文芸出版
『物狂ほしけれ』  車谷長吉  平凡社
『運命を恐れるな』  五井昌久  白光真宏会出版局
『青雨記』 (歌集)  高木佳子  いりの舎
『ALOHA! ヒューレン博士とホ・オポノポノの言葉』  平良アイリーン著 イハレアカラ・ヒューレン監修  サンマーク出版
『自分をまもる本 いじめ、もうがまんしない』  ローズマリー・ストーンズ著 小島希里訳 晶文社
『神と人間』  五井昌久  白光真宏会出版局

真向法、5月から毎日試しているところ。とりあえず立位体前屈で床に指先がつくようにはなった。(個人的には大躍進。)

写真、中之島公園にて。子雀。嘴の横が黄色だった。
by konohana-bunko | 2013-06-08 22:04 | 読書雑感 | Comments(0)

読書メモ 山田航歌集 『さよならバグ・チルドレン』

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山田航歌集『さよならバグ・チルドレン』(ふらんす堂/2012年)より、以下引用。

地球儀をまはせば雲のなき世界あらはなるまま昏れてゆくのか

掌のうへに熟れざる林檎投げ上げてまた掌にもどす木漏れ日のなか

よく懐く仔犬のやうに絡みつくつむじ風反時計回りの

放課後の窓の茜の中にゐてとろいめらいとまどろむきみは

てのひらをくすぐりながらぼくたちは渚辺といふ世界を歩む

りすんみい 齧りついたきりそのままの青林檎まだきらきらの歯型

水飲み場の蛇口をすべて上向きにしたまま空が濡れるのを待つ

つむじから風は螺旋に身をくだり足にはぼろぼろのコンバース

金曜九時。落ち合ふ場所は禁猟区。逢瀬と呼んで構ひはしない――

選択肢は三つ ポピーに水を遣る、猫を飼ふ、ぼくの恋人になる

たぶん親の収入超せない僕たちがペットボトルを補充してゆく

またの名を望郷魚わがてのひらの生命線を今夜ものぼる

嘘を吐くさまも愛しき少女より盗み来たれる緋のトゥ・シューズ

アヌビアス・ナナ水槽に揺れてゐて ナナ、ナナ、きみの残像がある

それでも僕は未来が好きさしんしんと雪降るゆふぐれの時計展

真つ白な闇なるものもあるらしく除雪夫の服ぴかぴか光る

進水式の朝の、涙が羽をもち南へ向かふ朝の、訪れ

ナインチェ・プラウス 横顔は無く本当にかなしいときは後ろを向くの

粉雪のひとつひとつが魚へと変はる濡れたる睫毛のうへで



(雑感メモ)

ジャケットは、白地に青の不規則な水玉柄。青みのある本に、偶然手許にあった青い付箋を貼りながら読んだ。読後抜き書きを作ろうと机の横に積んでから、長い時間が経ってしまった。写し書きをしながら付箋を剥がしていると、本がため息をついているように思えた。

若々しい歌が並んでいる。「金曜九時。落ち合ふ場所は禁猟区。逢瀬と呼んで構ひはしない――」という、いい意味で気恥ずかしい歌もあって、いいぞいいぞ第一歌集、と言いたくなる。口語混じりとはいえ、表現に危なげがなく、スムーズに歌の世界に浸って楽しめた。

あとがきの内容はやや予想外だった。山田さん、そうなの?あなた、こんなにそつなく歌が詠めて達意の文章が書ける人なのに?と。ホームランが打ちたかったとか、マリオネットのように操られたいとか……そういう「繰り言」というのは、自分を(もう少し、あるいはもっと?)思うさま操りたいのに操れない、その行き場のないもどかしさの裏返しなのだろうか。……そんな単純なものでもないのか。



写真、なんばパークスにて。
by konohana-bunko | 2013-05-29 17:26 | 読書雑感 | Comments(0)

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり
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