沁みる色

今日目に沁みた色。湯にふくらむ珈琲豆の褐色。畝傍山の上の青空。青柿の早緑。アスファルトの上を走る、雲の影の薄紫。高校生のシャツの蒼白。大和川の淵の深緑、伊賀焼の底に溜まった釉薬のような。レントゲン写真の黒。麦藁帽子の砂色。駅で誰かに手を振っていた人、の指先、ネイルのオペラピンク。
by konohana-bunko | 2011-08-04 14:27 | 空中底辺

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり