バスの中で

70過ぎのお婆ちゃんが二人、大きい声でしゃべっている。
「麻薬てあれ何やてナ、芥子から作るねんてナァ」
「へ、芥子てあの、あんぱんの上にまぶってるアレ?…ほんなわたい、しょっちゅう食べてますで?!」
バスの中は人目があるので、笑いをこらえて聞いている。笑いって、こらえると増幅する。
また別の日、お肌に水をかけたら蓮の葉みたいにコロコロっと弾きそうな、二十歳前後の娘さん三人の会話。
「花火見てたら、『たーまやー』て言うやん?」
「あ、言う言う、『たーまやー』『かーじやー』て」
「『かじや』??『鍵屋』やで?」
「えーー?うそーーー!(赤面)」
花火があまりに見事で火事みたいだから『火事や』だと思っていたとのこと。
by konohana-bunko | 2005-09-13 10:01 | 日乗

何もないところを空といふのならわたしは洗ふ虹が顕つまで


by このはな文庫 十谷あとり