杉山隆 遺稿集 『人間は秋に生まれた』 株式会社東京美術
日本の古本屋サイト経由で、宇都宮市の古書店から購入。奥付のところに、「杉山浩氏より受贈」と、日付が書いてあり、その日付が発行日の数日後となっている。浩氏は著者の父上だろうか。
心に響いた歌を七首引用。
・「屋根の家のサワン」を聞きし古ラジオ静かな秋の文化の日なり
・初夏の林に深くいりしとき扉のごとく光おり来つ
・塵あげて坂上りくる風の中ときをり光り紙切れの舞ふ
・夜に開くノオトに黒き影を曳き吾が部屋を飛ぶひとつ蛾のあり
・教室に乱雑にある黒き椅子が夕日射すとき骨のごとく見ゆ
・黒揚羽光りつつ飛ぶ夕庭に羊歯の葉の影乱れあひたり
・歌会より帰りてゆくに夜の河に激しく水の責めあふ音す
カバーにも、表紙の型押しにも、羊歯がデザインされている。最初に手に取ったときはあまり気に留めなかったその羊歯のモチーフが、読み終わって本を閉じるとき、胸をじわじわとしめつけてきた。